公開霊言抜粋レポート
言論の自由は無制限に許されるか?
「言論の自由」を超える「信仰の価値」
「ムハンマドよ、パリは燃えているか。―表現の自由VS.イスラム的信仰―」
2015年1月15日収録
2015年の幕開け早々、痛ましいテロ事件が起きた。ムハンマドを冒瀆する風刺画を掲載したフランス週刊紙「シャルリー・エブド」のパリ本社にイスラム過激派「アルカイダ」の関係者が押し入り、編集者や警備の警察官など12人が殺害された。逃亡した犯人が人質をとって立てこもり、さらに4人の命が奪われた。亡くなった方々の冥福を祈りたい。
この事件を受け、フランスでは大規模なデモが行われ、欧米諸国を中心に40カ国以上の首脳も参加。「反テロ」と「表現の自由」を訴えた。
これについて、イスラム教徒にも「言い分」や「疑問」があるのではないか。テロ行為は肯定できないが、ムハンマドを冒瀆する行為が「表現の自由」なのかと。イスラム教徒ならずとも、この事件についてムハンマド本人の考えを知りたいところだ。
幸福の科学グループ・大川隆法総裁は、今回の事件についての考えを尋ねるため、ムハンマドの霊を呼んだ。世界初にして、他では決してできないインタビューが実現した。
「シャルリー・エブド」紙とは?
今回襲撃された「シャルリー・エブド」紙は、フランスの左派系週刊新聞。タブーを知らず、今回の事件前から、広告や名画などのパロディ、宗教指導者の風刺画などを多く掲載して物議をかもしてきた。
「バカに愛されるのもラクじゃない」というせりふをつけたムハンマドの風刺画を掲載した際には、イスラム団体から訴訟を起こされている。
その後も、ムハンマドを同性愛者のように描いたり、ヌード姿で取り上げたりして、イスラム教徒の心情を逆なでしてきた。事務所に火炎瓶が投げ込まれたり、ハッキングの被害を受けたりしたこともある。フランス当局からも警告を受けながら、「表現の自由」を盾に、その編集スタンスは変わらなかった。
風刺の対象はキリスト教にもおよび、聖母マリアが、ブタに似た顔をしたイエス・キリストを出産する様子を描いた風刺画を掲載するなど、無神論的傾向も強いようだ。
こうした背景があって、今回のイスラム過激派による襲撃事件が起きたといえる。
冒瀆は「言論の自由」ではない
このテロを受け、フランスではテロに屈せず、「表現の自由」「言論の自由」を守ることを訴えるデモが起こっており、この動きは収まらない。
「シャルリー・エブド」紙は、抗議の意味を込めてか、「私はシャルリー」と書いたプラカードを持ち、涙を流すムハンマドの風刺画を掲載した。
事件で注目が集まった最新号は飛ぶように売れ、買い求める人々の行列もできた。同紙の発行部数は通常5、6万部だが、500万部までの増刷が決まったという。
こうした風刺画について、ムハンマド本人はどう思っているのか?
登場したムハンマドの霊に尋ねてみると 「何で、涙を流さなきゃいかんわけ? わしが泣かないかん理由はないな」 と抗議。「表現の自由」ばかりを声高に主張する西洋諸国のスタンスに激しい憤りを示した。
確かに表現の自由や言論の自由は無制限に許されるものではなく、責任が伴う。
今回のテロで犠牲になった編集長兼風刺画家のステファン・シャルボニエ氏は、「自分の書いていることがそこまで人を苦しめているわけではない」「面白いものを提供したい、人生を気軽に楽しみたい」と雑誌のインタビューで語っていた。
また、犠牲者の一人で、風刺漫画家だったカボニエール氏は、ムハンマドの風刺画について、「ムハンマドは私にとって聖なる存在ではない」と述べていた。
これらのコメントからは、宗教への正しい見識や敬意、信仰者への理解が感じられない。
信仰者にとって、その信仰の対象を傷つけられるということは、自らの身が切られるような悲しみや苦しみを伴う。面白ければ、信仰者の誇りや尊厳を傷つけてもかまわないというスタンスは言論を扱う者の姿勢として疑問符が付く。
ムハンマドの霊は、 「聖なる人を侮辱する漫画を描く者が、何が、表現の自由ですか」「自由の流れは、神の自由と悪魔の自由と両方あるけど、悪魔の自由を守ってどうする」 と怒りをぶちまけた。
信教と言論の自由の対立についても、 「信教の自由が上に決まっているでしょう?」「信教の自由は神様に対する義務なんだ。言論のほうは、人間対人間の問題ですよ。神様に対して言論の自由なんかありませんよ」 と信仰の優位を強調した。
侵略行為を繰り返してきた欧米諸国への怒り
さらにムハンマドの霊は、 「空爆や近代兵器を使って、イスラム教徒をいっぱい殺しているから」「イスラムは、欧米の先進兵器でボコボコにされてきた」 と、今回のテロの被害のみを主張する欧米諸国に不満をあらわにした。
昨年に始まった過激派組織「イスラム国」への空爆作戦には、フランス軍も参加している。
歴史的にも、欧米諸国は中東の資源を奪い合い、自分たちに都合のよい形で国境を引いて、混乱を生じさせてきた。
第一次大戦中、フランス、イギリス、ロシアの間で結ばれた「オスマン帝国領をどう分割するか」という秘密協定、「サイクス・ピコ協定」は、その代表的な協定だ。
イスラエルとパレスチナの紛争も、イギリスの相矛盾する不誠実な外交姿勢が発端となっている。アラブ人にはパレスチナでの居住を認めつつ、ユダヤ人には「パレスチナにユダヤ人国家をつくる」と宣言し、結局この問題の解決を投げ出した。
アメリカも、石油資源を押さえる目的のために、イランとイラクを相互に支援。両国の争いの種をつくった。
欧米による“侵略"で、今までどれほど多くの人が亡くなり、富が奪われたのか。今回の犠牲者の比ではないはずだ、というのがムハンマドの意見だ。
ムハンマドの霊は、イラクのフセイン大統領の処刑についても納得がいかないという。そもそも、イラク戦争の理由となった「大量破壊兵器」など出てこなかったにもかかわらず、民主主義的に選ばれた大統領を処刑しておいて、アメリカは何の責任も取っていない。 「犯罪人はブッシュ大統領だ」「濡れ衣で、選挙で選ばれた大統領が処刑されたことに対して、イスラム系の人たちは怒るべきだ」 と主張した。
ムハンマドは、 「テロなんか応援していない」 と言いながらも、ISISをはじめとするイスラム過激派グループが欧米諸国に“反撃"していることについて、一定の理解を示した。
もちろんテロ行為は許しがたいことだ。だが、「欧米的価値観こそ正義」というスタンスのもと、欧米諸国の介入が正当化されてきたことについては、検証の余地があるかもしれない。
欧米諸国こそ人権を抑圧してきた
とはいえ、イスラム系諸国の人権抑圧的な面には問題が多い。戒律が厳しく、戒律を破った時の刑罰も、罪の重大さに比してややバランスを欠いている。特に女性は教育をまともに受けられず、自由な外出がままならないケースもある。
こうした姿勢が、欧米諸国の理解を得られない面もあるのではないか。
だが、それを指摘されたムハンマドの霊は「(欧米諸国は) 黒人と称するアフリカ人を捕まえて縛り上げて、人身売買して売りさばいたんですよ」「今頃になって、人権を盾にしている。よく言えたもんだ。反省してから言いなさい 」と声を荒げた。
2011年8月に収録したムハンマドの霊言(『中東で何が起こっているのか』所収)では、 「立宗から千数百年たっているのに、そのころの考え方や行動のままでは、イスラムは取り残されてしまう」 と語り、イスラム社会の改革の必要性を語っていたが、「人権」を都合よく振りかざす欧米諸国には怒りがおさまらないようだ。
実際、フランスの人権思想には問題がある。王権神授説を激しく批判し、王族をギロチンにかけた「フランス革命」の流れを引いているためか、宗教なき人権思想が根付いている。
例えば、「ブルカ禁止法」の問題がある。フランスでは、イスラム教徒の女性が顔のすべてを覆う「ブルカ」を公共の場で着用することを禁じるいわゆる「ブルカ禁止法」が2011年4月から施行された。この法律は、女性の人権問題と信教の自由をめぐり、大きな議論を巻き起こしている。
サルコジ前大統領は、「ブルカは女性の自由と尊厳の問題だ。ブルカは隷属の表徴であり、フランス共和国の領土内では歓迎されない」などと演説。イスラム教徒からすれば、「余計なお世話」であり、「信教の自由」の侵害に見えるだろう。治安上の理由もあるだろうし、イスラム教徒にも柔軟性が求められる面もあるが、信仰者として守ってきた行為を一方的に「人権の侵害」などと断罪されるのは、イスラム教徒には納得がいかないだろう。
お互いの理解を深める「智慧」を求めよ
ムハンマドの主張は、イスラム教徒の本音が表れている。特に今回は、イスラムが冒瀆されたとあって、現在のキリスト教会への批判も強めるなど、やや過激な発言も見られた。
とはいえ、お互いに怒りや憎しみをぶつけ合っていては平行線だ。欧米とイスラム社会の融和の道はないのか。
大川隆法総裁は、1月11日に行われた法話「『智慧の法』講義」で、この事件に触れ、結局は「智慧の問題」であり「理解の問題」だと述べた。
幸福の科学は、世界宗教となった教えはある程度受け容れながら、異なるところは合理的に理解していこうとする寛容さを持っており、その対立を乗り越える教えも説かれている。そうした幸福の科学の教えをイスラム教徒が学んでいれば、このような暴力的手段に訴えることはしなかっただろうし、「自由」や「人権」を訴える人たちも「自由と宗教の対立」とは捉えなかっただろう。
もともと「表現の自由」や「言論の自由」は「信教の自由」から生まれてきたものだ。内心の自由が最も重要で、それを表明しても不利益を受けないよう「表現の自由」「言論の自由」が生まれた。こうした経緯を考えた時、宗教への尊重や畏敬の念を置き去りにはできない。
また、神や宗教を打ち捨てた「自由」は歯止めがきかず、「人間の欲望」や自分勝手な姿勢を正当化することにつながる。本物の宗教は、真の自由をもたらすものだ。
もちろんイスラムの側にもイノベーションが必要だ。食事や礼拝についての細かな戒律や、「利子を取ってはいけない」といった教えが、自由な経済活動の阻害要因となり、欧米諸国の発展から取り残されている。繰り返されるテロ行為も、無理解と憎しみを引き起こす。
イスラム教国にもう一段の発展をもたらすためにも、欧米の優れた面に学ぼうとする姿勢を持ち、暴力的な手段以外での問題解決を図る努力を怠ってはならない。
結局、お互いの宗教や文化を理解しようとする「愛」と「知」の心、自らの過ちを認めて改める「反省」の心を持つべきではないか。それが双方の「発展」につながる。
今、キリスト教が「天の父」と呼び、ムハンマドが「アラー」と呼んだ存在が、世界宗教を融合する教えを説いている。この奇跡を多くの人が受け入れることが、無理解とテロの連鎖を止める道となるだろう。
【関連書籍】
幸福の科学出版 『中東で何が起こっているのか 公開霊言 ムハンマド/アリー/サラディン』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=913
幸福の科学出版 『世界紛争の真実 ミカエル vs. ムハンマド』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=95
幸福の科学出版 『国際政治を見る眼』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1307
【関連記事】
2015年1月号記事 未来への羅針盤「真のイスラムの教えとは」
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2014年12月号記事 イスラム国 サダム・フセインの呪い スッキリわかる中東問題【前編】 Part1
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8605
2014年12月号記事 イスラム国 サダム・フセインの呪い スッキリわかる中東問題【前編】 Part2
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8604
2015年1月9日付ニュースクリップ 宗教への冒涜は「言論の自由」か? イスラム勢力による仏「シャルリー紙」襲撃事件
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9028
詳しくは⇒⇒⇒
大川隆法のスーパー霊能力 「霊言」とは何か
ここに紹介したのは霊言のごく一部です。詳しくは幸福の科学の施設で、ぜひご覧ください(下記参照)。
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