政府は12日、2015年度の経済見通しを閣議了解した。
閣議では、2015年度の実質GDPが1.5%程度のプラスと見込む一方で、昨年度の実質GDPは前年度比でマイナス0.5%と大きく下方修正。マイナス成長になる見通しが立つのは、2009年のリーマン・ショック以来、実に5年ぶりのことだ。
消費増税では内需はさらに冷え込む
だが、昨年度のマイナス成長は、消費税8%を導入する時点で予測できた。日本ではGDPの6割が家計消費などの内需で占められている。デフレ不況下で、ただでさえ国民の購買意欲は低く、消費増税を実施したところで、家庭の財布の紐はますます堅くなり、内需はさらに冷え込むだけだ。3%から5%に増税した際も景気が冷え込み、多くの企業が倒産した。
実際、消費増税導入直後の昨年4~6月期のGDPは年率換算で7.3%の減少。東日本地震が起きた当時を上回る落ち込みだ。
日本経済をミスリードしてきた学者たち
それなのに、学者や専門家たちは、消費増税しても景気は回復すると主張し、日本経済をミスリードしてきた。
内閣府からは今回のGDP成長率の減少に関して、「個人消費が予想以上に弱かった」というコメントが出るなど、まるで他人事かのような態度だ。(13日付朝日新聞)
大和総研の執行役員でチーフエコノミストを務める熊谷亮丸氏は、「景気対策をやったとしても、それは1年限りです。増税をすればその先もずっと税収は上がります」と発言し、アベノミクスの方向性を評価(2014年9月11日付日経ビジネスオンライン)。熊谷氏は、消費増税による景気後退が顕著に現れても、消費増税を推進している。
政府の有識者点検会合で消費増税に賛成し続けたエコノミスト、経済学者は、熊谷氏の他にも、武田洋子氏(三菱総研チーフエコノミスト)、菅野雅明氏(JPモルガンチーフエコノミスト)、西岡純子氏(アール・ビー・エス証券会社東京支店チーフエコノミスト)、高田創氏(みずほ総合研究所チーフエコノミスト)、伊藤隆敏氏(政策研究大学院大学教授、東京大学名誉教授)らがいる。
加えてマスコミも「消費増税響く 5年ぶりのマイナス」(13日付読売新聞)などと、消費増税導入を煽り、国民をミスリードしたことに対する反省の色は全く見られない。
内閣府やエコノミストと呼ばれる有識者、マスコミなど、国民を啓蒙していくべき立場にある人たちが、消費マインドを読み間違い、消費税のマイナス影響を正しく認識できなかったことは大きな問題だ。こうしたことが続くようでは、彼らの存在に大義はない。消費増税による経済後退が明らかになった以上、彼らは自分たちの言論に対して責任を取る必要があるだろう。(冨)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『資本主義の未来』 大川隆法著
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