自民党が推し進める消費増税に対して、経済界からも批判の声が挙がっている。ドンキホーテホールディングスの代表取締役会長兼CEO の安田隆夫氏のインタビューが、11日付ダイヤモンド・オンラインに掲載された。

インタビューの中で、4月の消費増税が内需型企業に与えた影響について、安田氏は「消費税を8%に上げて、一気に腰折れ。内需型企業は軒並み勢いがなくなった」と分析した。消費増税10%が延期されたことについては、「10%になったら、今のまま持つかどうかわからない」と会社経営への不安を率直に語った。可処分所得を上げるために給料を上げるべきだという政府の要請については、「現実に給料を挙げられる状況にあるのは、一部の輸出企業に限られると思います」「当社のような内需型の企業は、怖くて上げられない」と反論している。

その他、歳入ばかりで歳出の議論をしない政府に対して、「福祉が大事だといっても、国家が破綻していいのか」と苦言を呈した。

日本は輸出立国だというマスコミなどを中心とした論調もあるが、日本はGDPの約6割が個人消費で占められる内需国家だ。国際通貨基金(IMF)の調査によると、2012年度の日本の輸出依存度(GDP比)はわずか13.4%である。マスコミなどは、円安で輸出企業が好調になれば、日本経済は復活するなどと主張してきたが、日本は内需を拡大しないことには景気の回復は見込めない。内需を冷え込ませる消費増税が愚策だったのは明らかだ。

しかも、円安の影響で、原料などの輸入代金が高騰し、大多数の下請け会社は厳しい経営を強いられているのが現状だ。その一方で、企業に給料を上げるように要請するなど、政府の政策は矛盾している。

本欄でも再三指摘したが、消費増税を行ってもトータルの税収は減ってしまい、経済不況から脱することはできない。経済発展に必要なのは、消費増税ではなく消費減税だ。消費減税により、消費者の購買意欲が増し、民間の消費が喚起され、経済全体が潤う中で税収は自然に増えていくのだ。共産党や社民党なども消費増税に反対しているが、その一方で大企業や富裕層への課税強化を訴えている。つまり、本当の意味で減税を訴えているのは、幸福実現党だけだ。

今回の衆院選をアベノミクスの成否を問う選挙だと位置づける自民党は、「景気回復、この道しかない」という選挙のキャッチフレーズを掲げているが、「その道」は間違っていることを理解しなければならない。(冨)

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