韓国の政界や文化芸術界などの有力者50人がこのほど、日本の憲法9条をノーベル平和賞に推薦することを発表した。「日本平和憲法9条ノーベル平和賞推薦韓国委員会」をつくり、今後、署名活動などを行うという。

同委員会は会見で、安倍晋三首相の憲法改正により9条が無効化されると、東アジアの平和が脅かされると主張している。だが、もし9条がノーベル平和賞を受賞すれば、国際社会の目を気にして、日本は未来永劫、憲法を改正することができなくなるだろう。

本欄でも紹介したが、今年のノーベル平和賞には、この9条が候補に挙がっていた。日本人の主婦が「子供たちを戦争の犠牲にさせる国をつくることはできない」と推薦し、その受賞対象者は「日本国民」とされていた。

ノーベル賞受賞者を独自に予測することで有名な、オスロ国際平和研究所の所長は、9条を受賞の最有力候補に上げていたが、後日、受賞対象者について、「日本国民」という名称の団体だと誤解していたことが分かった。ノーベル賞委員会の事務局長は、推薦者である市民団体と政府の一体性に欠ける現状に、国民全体への授与は困難だと語っている(読売新聞Web版16日付)。

しかし、韓国の有力者たちが、9条をそれほど高く評価しているなら、韓国の憲法に導入すべく働きかける方が先ではないだろうか。また、軍事的脅威である中国や北朝鮮といった隣国にも強く勧めるべきだろう。

そもそも、9条は交戦力の不保持を唱えているが、国防力を持たないということは、やすやすと他国の侵略を許すことを意味する。日本が戦後70年近くの間、平和を享受できたのは、日米同盟と在日米軍基地の存在があったからだ。

軍事独裁国家の暴走に対する抑止力を失うという点で、交戦力の不保持は、平和ではなく、侵略を呼び寄せてしまう。9条は、ノーベル平和賞にふさわしいものではないのだ。平和憲法と呼べば、耳当たりはよいが、現実の世界を冷静に見る必要がある。国の未来を守るのは、政府の高度な外交力や戦争や紛争を仕掛けられないだけの強固な国防力だ。(居)

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