習近平・中国国家主席が11月下旬、北京で8年ぶりに開催された中央外事工作会議で、外交政策に関する演説を行った。その内容を、このほど国営通信・新華社が報じた。

習氏は演説で、こう語った。「全ての国は、強さや大きさに関わらず、国際社会においては平等である。(中略)他国の内政に干渉せず、それぞれの国がそれぞれの道を歩むことを認め、領土問題を対話によって解決し、武力による解決に反対する」

極めてまっとうな主張だが、それをもっとも守っていないのは中国であるという事実をどう説明するつもりか。実際に、東シナ海や南シナ海では、中国軍の横暴とも言える行為が続けている。

習氏の演説を分析する欧米のマスコミは、彼の言葉と、実際の中国の外交的な行動の間に整合性を見出すことに苦労している。オンライン誌「ザ・ディプロマット」は、「中国首脳部は習氏が就任した2012年以降の外交政策を『成功』と認識しているため、中国の強硬な外交が変わることはない」と指摘する。

今年2月のイギリス国際戦略研究所の報告によると、2013年度における東アジア諸国の軍事予算の上昇の46%は中国が占めているという。この脅威を間近に感じている周辺国も、軍事予算を加速度的に増大させている。

中国は台湾を「核心的利益」と言って、絶対に譲れない領土としているが、その周辺の尖閣諸島(東シナ海)や南沙・西沙諸島(南シナ海)で起きている領土問題を見れば、中国がどの地域を支配下に置こうとしているかは明らかだ。実際、中国はここ数年の間、日本、フィリピン、ベトナム、インドなどと、領土に関するもめ事を起こし、東アジア、東南アジアの安全保障環境は急速に悪化している。

ディプロマットは「欧米のアナリストは、先入観や希望的観測を排して習氏の演説を分析する必要がある」と結ぶ。

欧米諸国は、アジアの大国としての中国の経済成長に目を奪われ、自国が利益を得ることばかりに意識が向いて、中国の本質が見えにくい面もあるだろう。しかし、中国の本質は、一党独裁の軍事大国であり、周辺国への侵略の機会を着々と狙っている。日本はその危険性を、欧米諸国にもっと知らせなくてはならない。

日本はいま衆院選の真っ最中だが、経済政策ばかりに気を取られず、安全保障にも目を向ける必要がある。憲法9条改正や国防力の強化などで、健全な経済活動を可能にする平和を担保できる政党こそがいま求められている。(中)

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