2015年世界はこう動く 第1部 自民党 vs 幸福実現党 - アベノミクス・安倍外交の次はコレだ!

2015年世界はこう動く 第1部 自民党 vs 幸福実現党 - アベノミクス・安倍外交の次はコレだ!

 

2015年1月号記事

 

2015年世界はこう動く 第1部

 

自民党 vs 幸福実現党

アベノミクス・安倍外交の次はコレだ!

 

「消費増税先送り解散」を打った安倍首相。しかし、「消費税10%」は、元々自民党が掲げたもので、「自作自演」と言える。これに対し、一貫して「増税反対」を主張し、「5%への引き下げ」を訴える幸福実現党。どちらが国民を幸せにする政党か。経済と外交を中心に比べた。

(編集部 山下格史、中原一隆、馬場光太郎、山本慧)

 


contents

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【 も く じ 】

1.アベノミクスで日本経済は大丈夫? 本誌p.50

2.安倍政権の教育改革はどこへ向かう? 本誌p.53

3.米シェール革命で日本のエネルギーも大丈夫? 本誌p.54

4.中国の経済不安で日本はどうなる? 本誌p.58

5.韓国の反日運動の影響で日本はどうなる? 本誌p.62

6.北朝鮮による拉致被害者は帰ってくる? 本誌p.66

志士奮迅《特別編》 釈量子 幸福実現党党首 本誌p.70

 

 

世界はこう動く

 

1.アベノミクスで日本経済は大丈夫?

 

2015年、アベノミクスの失敗が露呈し、家計も企業も苦しくなる

 

安倍首相は勇ましく「消費増税10%先送り」と言うが、そもそも増税を主導してきたのは自民党である。一貫して「減税」を訴えてきた幸福実現党に先見性があったことは明らかだ。両党の違いはどこにあるのか。

 

 

「増税先送り解散」──。

 安倍晋三首相は11月18日、消費増税10%の先送りについて、国民に信を問うため、衆院を解散することを表明した。

 何か大きな決断をしたかのように振る舞う安倍首相だが、そもそも「消費税率10%」を言い始めたのは自民党だ。自分たちの政策を先送りすることで支持を得ようとするのは「自作自演」と言える。

 

 

自民党は消費増税を推進してきた張本人

 2010年夏、参院選を控えた自民党は、マニフェストに「消費税率10%」を明記した。

 すると、民主党の菅直人首相(当時)が「自民党の10%を参考にさせてもらう」と発言。その後の12年夏、民主党の野田政権下で、消費増税法案が、自民、民主、公明の3党合意を経て、可決・成立した。8%、10%への増税は自民党が主導してきたのだ。実際に同党のホームページには、誇らしげに「野党であるわが党が主導する形で、歴史に残る消費税引き上げ法案の成立が実現した」とある。

「だからこそ、国民に信を問う」という開き直り方もあるかもしれないが、4年以上費やした議論やそれに伴う時間やお金は無駄になった。この責任は、誰が取るのか。

 また、今年4月に導入した8%増税によって、日本経済は大きく破壊された。その証拠に4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で7・3%の減少。東日本大震災が起きた当時を上回る落ち込みとなった。消費増税が経済に与える影響の大きさを物語っている。

 今回、安倍首相は増税を先送りしたが、同時に「景気条項を削除し、18カ月後には確実に10%に引き上げる」と断言。経済環境を無視する姿勢は、まさに「社会主義的」である。

 

 

国民の経済活動を邪魔する自民党の経済政策

消費税8%導入後、初めての週末となった4月5日。都内の百貨店で和菓子を購入し、消費喚起をねらう安倍首相。写真:代表撮影

 もちろん、安倍政権の経済政策「アベノミクス」にも評価すべき点はある。

 第一の矢と呼ばれる「金融緩和」。これは、民間の金融機関が持つ国債を、日銀が買い取ることによって市場に出回るお金の量を増やし、個人や企業がお金を借りやすい環境をつくる政策。 第二の矢の「財政出動」は、公共事業を増やすことで、民間企業の投資や雇用を増やす政策だ。ここまではある程度、順調だった。

 だが、第三の矢の「成長戦略」で大きくつまずく。

 安倍首相は昨年4月以降、断続的に成長戦略の内容を打ち出した。だが、「医療の成長産業化」「農林水産業の強化」「外国人医師の受け入れ」など、どれも小ぶりなものばかりで、期待していた市場は失望。その中で消費増税8%を導入したため、回復の兆しが見え始めた日本経済に冷水を浴びせる形となり、震災時を超えるGDPの落ち込みを招いた。

 結局、第一、第二の矢で日銀や政府を動かしたまでは良かったが、第三の矢で個人や企業の創意工夫に委ね、民間主導の経済成長を目指すべき段階で、アベノミクスの限界が露呈したわけだ。

 安倍首相の頭にあったのは、「景気回復は、すべて政府主導で実現できる」という財務省的な、中国にも似た社会主義的な経済だったと言える。それは、「大きな政府」が、民間を抑圧・統制する経済である。

 10月末、日銀の追加の金融緩和によって株価が上がったが、これは選挙前に"株価操作"を行ったに過ぎない。安倍政権に、これ以上の策はなさそうだ。

 

 

国民の善意や努力を信じる幸福実現党の経済政策

自民党

アベノミクスの失敗を隠して国民からお金を搾り取る。

1年半後には10%に増税。

その後も増税の可能性大。

 

幸福実現党

消費税率を5%に下げ、許認可行政の撤廃で無駄を省く。

国民が自由にお金を使う中で経済を成長させる。

 これに対し、幸福実現党は09年の立党以来、一貫して「消費増税反対」「減税による経済成長」を主張してきた。今回の衆院選でも、「消費税率5%への引き下げ」を訴える。

 同党が減税を主張するのは、景気が回復しない中での増税は、国民の首を絞めることを理解しているからだ。実際、過去に税率が3%、5%に上がった後、赤字企業や倒産企業が急増。5%に上がった1997年には、自殺者数が初めて3万人を超えた。

 こうした事態を招かないよう、同党は積極的に活動してきた。

 増税が現実味を帯び始めた野田政権下では、都心部を中心に少なくとも5回、2千人前後の規模で「消費増税反対」デモを開催。安倍首相が8%増税を判断する直前の昨年9月にも都内でデモを行い、同党が中心になって全国で増税中止を求める署名約14万1千人分を集め、内閣府に提出した。

 また安倍首相が8%増税を決断した昨年10月には、声明を発表。「日本のGDPの約6割は個人消費であり、増税で可処分所得が減り、個人消費が落ち込めば、日本経済全体が大きなダメージを受ける」と批判した。

 こうした警鐘に耳を貸さず、安倍首相は8%の増税を強行。その結果、前述の震災時を超えるGDPの落ち込みをつくった。幸福実現党が“予言"した通りの結果になったわけだが、同党と自民党のどちらに、国民を幸せにする政策、国の行く先を見通す先見力があるかは一目瞭然だ。

 増税に反対してきた幸福実現党と、増税を推進してきた自民党の違いは、「政府」に対する考え方の違いでもある。

 幸福実現党が目指すのは「小さな政府」。税金をなるべく安くして国民に自由にお金を使ってもらい、経済全体が潤う中で税収を増やしていく考えだ。

 一方、自民党が目指すのは「大きな政府」。税金をなるべく高くして国民からお金を搾り取り、政府がお金の使い道を決めて、それに国民を従わせる考えだ。

 突き詰めて言えば、国民の善意や努力、創意工夫を信じるか否かの違いである。

 


 

世界はこう動く

 

2.安倍政権の教育改革はどこへ向かう?

 

2015年、日本の「信教・学問の自由」が問われる

 

自民党

「大きな政府」で、国民の思想信条に介入。

あらゆる自由を制限する傾向を強める。

 

幸福実現党

「小さな政府」で、国民の自由を拡大。

大学教育なども、自由競争に委ねる。

 全国学力テストの結果の詳細を公表したことについて、下村博文・文科相は11月上旬、都内で行った川勝平太・静岡県知事との会談で、「知事に公表の権限はない」と断じた。これに対し、川勝知事は「実施要領は不明確だ」と反論した。

「教育の再生」を掲げる安倍政権は、基本方針として「世界トップレベルの学力、規範意識、そして歴史や文化を尊重する態度を育む」としている。

 だが冒頭のやり取りが象徴するように、その方針はかけ声倒れに終わっている。結局は、「前例主義」「許認可行政」であり、新しいチャレンジを阻んでいる。

 これは一言で言えば、「大きな政府」の姿だ。安倍政権は民間を抑圧し、統制することを政府の役割と考えている節がある。実はこうした考え方が、アベノミクスが成功しない理由とつながっていることに気づくべきだろう。

 

 

幸福実現党の自由主義的な教育

 幸福実現党は学力テストについて、「公務員の仕事の情報公開として、市区町村別・学校別の成績を公表し、競争原理を働かせる」としている。各人の努力に応じて評価されることを良しとし、教師にも切磋琢磨を求める政策だ。

 これは教育における自由主義であり、教師たちの切磋琢磨によって、世界に羽ばたく子供たちを育てることを意味する。

 また際立つのが、宗教政党の強みを生かした「道徳教育・宗教教育の充実」という政策だ。「なぜ命は尊いのか」などの根源的な問いに答えられるのは宗教であり、宗教を切り離した道徳教育は成立し得ない。

 世界中の多様な価値観を尊重する同党の教育改革は、子供たちの能力を最大限に伸ばすだけでなく、民間の創意工夫を尊重して活力を引き出す「小さな政府」につながるものだ。

 


 

3.アメリカのシェール革命で日本のエネルギーも大丈夫?

 

そもそも解説

 

シェールオイルって何?

空前のシェールブームに沸くアメリカ。石油と天然ガスを自国で生産し、エネルギー大国として活力を取り戻そうとしています。しかし、このブームは実はバブルだという見方があります。

 

 

複雑な採掘法で高コストなシェール開発の概略図

 

 近年、シェールオイルやシェールガスの採掘によって、アメリカの天然ガス・原油採掘量が急速に増え、同国がエネルギー超大国になるとまで言われています。このブームは「シェール革命」と呼ばれ、アメリカ経済の再建につながるのではないかと期待する声もあります。

 シェールオイル・ガスとは、有機物を多く含む頁岩層から採掘される天然ガスや、頁岩油などを熱分解させて得る原油のことです。地下数千メートルに眠るシェールオイル・ガスを採掘するために、水圧破砕法(フラッキング)で地下の岩を崩しながら掘ります。頁岩層に達したら、採掘できる原油の量を最大限にするために、そこからさらに横向きに堀り進めます(右図)。

 実際、シェールオイル・ガス採掘によって、アメリカの天然ガス・原油の採掘量は急増。2005年から13年までの間で、天然ガスの生産量は33%も増えました。さらに、今年8月には、石油生産量が1日1150万バレルまで到達し、1160万バレルのサウジアラビアとほぼ並びます。このため、06年をピークに、アメリカの石油輸入量が全体使用量の60%から、現在の28%まで減っています。

 

 

シェールオイルは中東依存脱却の国家戦略

 アメリカは、08年の金融危機以来、経済を立て直すことと、オバマ政権の社会福祉政策を推進するために、軍事費を減らしてきました。同時に世界経済の重点が東アジアに移り始めていることを踏まえ、アメリカは12年、米軍の中東からの撤退と、アジア回帰を打ち出します。

 そのため、石油の重要な輸入先であった中東の紛争から自国経済を守ることと、アジア回帰との両方を実現するために、アメリカは中東への石油依存脱却を考えています。その一翼を担うのが、自国の石油生産量を拡大するシェール開発です。

 

 

1700億円の赤字でシェール事業から撤退

 しかし、今年9月末、総合商社の住友商事がアメリカで進めていたシェール関連の事業で1700億円もの赤字を出し、撤退を表明しました。他の事業赤字と合わせると、今年予想していた2500億円の黒字のうち、96%が吹き飛んだ計算になります。

 一見躍進を続けるシェール開発ですが、なぜこのような事態が起きたのでしょう。

 根本的な問題は、シェール採掘用の設備投資が、採掘されたガスや石油の売り上げより高くなるケースがあることです。

 ここ5年間にわたる天然ガスの市場価格は、1千立方フィートあたり2~6ドル前後で変動しました。これに対し、シェールガスは、それぞれの場所によって設備投資が異なりますが、一説には、採算価格は4~8ドル前後とされており、これ以上の価格で売れなければ、赤字になります。

 また、シェールオイルの場合、採算が取れる1バレル50~80ドルで開発できる場所もあれば、1バレル100ドルものコストがかかる場所もあります。シェール田によってコストがばらつき、収益の予想が難しいため、投資する側はリスクを背負います。

 さらに、シェールオイル・ガスの大量採掘は、原油や天然ガスの市場価格の低下につながり、採算が取れていたシェール田が赤字事業に変わる可能性もあります。

 米エネルギー省は12年版の見通し年鑑で、代表的シェールガス田は例外なく生産レートが急減し、予想したほどの埋蔵量がなく、枯渇するスピードも速いとしています。その結果、目標の生産量を達成するために、次々に新しい穴を掘り続けなければならず、開発コストが高くなり、儲けが出ないという悪循環が生じているのです。

 それを考えると、現在のシェールブームはバブルである可能性が高いと言えます。

 

カリフォルニア州のモンテレイ・シェール田。米国エネルギー情報局(EIA)の調査によると、150億バレルの原油が採掘可能とされている。写真:ロイター/アフロ

 

 

 

 


 

世界はこう動く

 

2015年、シェール革命は幻想に終わる

 

シェール開発に力を入れるアメリカのオバマ大統領。2015年、そのバブルがはじける可能性がある。写真:AP/アフロ

 

 

自民党

シェール投資政策の失敗。

原発再稼働の先送り、化石燃料の輸入増で電気料金が上がる。

 

幸福実現党

原発再稼働で化石燃料の輸入が減る。

電気料金も下がって、経済が活性化。

 最近、原油価格の低下が著しく、1バレル78ドル辺りまで減少(11月15日時点)し、シェール事業の採算性が危ぶまれている。

 2015年も、この価格低迷が続くと思われ、資金に余力のないシェール田開発企業が倒産する危険性がある。最悪の場合、採算性に対する不安が市場に広がり、企業に投資していた資本家が逃げ出し、バブルがはじける可能性もある。

 実はシェールが与えるアメリカ経済全体への影響は小さい。天然ガスと原油産業は、アメリカのGDPの2・5%しか占めず、09年からのシェールによる天然ガス・原油の生産拡大もGDP成長への貢献はたった0・6%だという。

 スタンフォード大学の試算によると、アメリカにおける天然ガス・石油価格の低下による経済効果は、今後30年でGDPの0・5%ほど。この程度の成長でアメリカの経済を再建できるとは思えない。

 問題は、過剰にPRされたシェールへの幻想がしぼむことで、実態以上にアメリカ国民が不安を抱き、経済が冷え込む可能性があることだ。

 

 

シェールガスに望みを託すアメリカ

 アメリカは08年の金融危機から、いまだ経済再建の途中にあり、天然ガス・石油事業の拡大と安全保障上の問題から、シェール開発に取り組んできた。

 しかし現実は厳しく、激化する中東紛争とシェールガス採掘の経済的リスクを見ると、アメリカの外交上・安全保障政策上の迷走はまだまだ続く可能性がある。

 本来アメリカは、超大国としての認識を取り戻すべきなのだ。大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『国際政治を見る眼』でこう指摘した。

「軍事的に世界最強国であるならば、ドルを幾らでも刷ればよいのです。(中略)最後に軍事力が担保している場合には、世界的にその"紙切れ"は通用する」

 だが、貧民街で弁護士をしていたオバマ米大統領は、こうした超大国特有の経済学を理解していない。すぐにアメリカがスーパーパワーとしての力を取り戻すことは難しいだろう。

 アメリカの「シェール革命」の実態は、今後数年から10年程度しか続かない一過性のブームに終わりそうであり、シェールによるアメリカ経済の復活はないと言える。

 

 

エネルギー問題は「原発再稼働」で解決する

 だが、安倍政権はこのシェールに過大な期待を寄せている。 

 安倍晋三首相は昨年2月に訪米し、オバマ大統領にシェールガスの対日輸出を解禁するよう要請。そして今年8月には、日本の3大メガバンクがシェール事業に総額1兆円超の融資を決めたほか、ガスを運ぶ船を造る海運会社への融資も1兆円を超える見通しとなった。

 シェールに頼る背景には、国内の原発を止めたことで、火力発電への依存が高まり、化石燃料の輸入が拡大した結果、貿易赤字が膨らんでいる事情がある。 

 安倍首相は、メキシコやカナダともシェール事業への資金・技術面の協力を約束しているが、投資に見合った利益を得られるか否かは不透明だ。 

 このエネルギー問題について、幸福実現党の主張は明確だ。「早期に、全国の原発を再稼働させよ」である。 

 原発事故で亡くなった人はゼロであり、放射線は福島のほとんどの地域で人が住めるレベル。全国の原発を再稼働させれば、化石燃料を買うために外国に払っている1日あたり100億円の富の流出も止められる。 

 最近、安倍政権も原発再稼働に重い腰を上げつつあるが、幸福実現党が「原発は必要だ」と主張したのは、福島の原発事故が起きた直後である。

 


 

4.中国の経済不安で日本はどうなる?

 

そもそも解説

 

中国経済は大丈夫なの?

「世界の工場」と言われ、飛躍的な高成長を遂げてきた中国。しかし最近、その勢いに陰りも見え始めています。中国の特殊な政治経済体制ゆえに、直面することになる限界について見てみましょう。

 

 

 中国は2010年、国内総生産(GDP)で日本を抜いたと発表しました。4年経った今、GDPは日本の2倍に達し、「このままだと数年内にアメリカを抜く」とも言われています。

 しかし、近年は減速も著しく、7~9月期のGDP成長率は7・3%と、リーマン・ショック直後の水準にまで下がりました。中国経済は今後、従来のように成長できるのでしょうか。

 

地方政府の借金はGDP以上

 中国は、大きな"時限爆弾"を抱えています。地方政府の債務、つまり借金の問題です。

 中国経済は、地方政府がマンションなどを建設することで成長してきました。その結果、GDPの半分近くを不動産などへの投資が占めています。この比率は、日本の2倍以上。非常にいびつな経済構造です。

 さらに地方政府の役人は、国民からお金を借りて乱暴な開発を進めました。たとえ借金を増やしても、どんどんお金を使って地域のGDPを上げさえすれば出世できるからです。

 しかし当然、入居者のいないゴーストタウンが増えるだけ。資金を回収できず、借金はたまる一方です。その総額はGDPの900兆円を超えるとも言われます。

 こうしたずさんな経営は、民間企業なら行えません。ここまで借金が大きくなる前に破綻するからです。この地方債務の問題は、政府が管理する社会主義的な経済成長の失敗を意味します。

 多額の債務が返せなくなれば、GDPの大部分を占める不動産開発は止まり、お金を貸した国民も財産を失います。経済は一気に縮小するでしょう。

 

 

国有企業ばかりで経済停滞

 中国経済の弱点は他にもあります。今まで中国は、外国企業に工場を建ててもらったり、先進国の技術を学んで、安い賃金を使って発展してきました。しかし現在、賃金も上がり、技術も先進国に追いつきつつあります。中国がこれ以上成長するには、安く製品を作る「途上国経済」から、新製品やアイデアを生み出す、「先進国経済」に移行する必要があります。

 しかし中国には、日本のトヨタやアメリカのマイクロソフトなどのような、独自の技術を持った企業がありません。阿里巴巴や百度も、アメリカのインターネット事業を真似たものです。

 中国は、自由市場経済を導入しているようにも見えますが、通信、エネルギー、銀行などの主要産業は、国有企業が独占しています。政府が、国有企業を資金や制度などで優遇しており、民間企業が参入する余地がないのです。

 競争相手のいない国有企業では、新たな商品やサービスを生み出す動機が生まれません。

 中国は、経済の一部を自由競争で発展させつつ、主要部分は政府がコントロールする、事実上の「計画経済」なのです。

 

 

情報統制で富が生まれない

 情報統制・思想統制も中国経済の弱点の一つです。

 経済を発展させる起業家や科学者は、自由な議論・研究が行える教育や、自由な情報交換ができる言論空間の中で生まれます。これは「アイデア自由市場」と言われます。

 しかし中国では、大学も国の管理下にあり、国家プロジェクトに合致する研究以外は行えません。シリコンバレーに代表される、アメリカ経済の自由さとは対照的です。また、フェイスブックやグーグルも使えず、政府に都合の悪い意見を発信すれば、逮捕される場合もあります。

 富の源泉となる、個人のアイデアや情報交換・研究が自由に行えない状況は、中国経済のアキレス腱なのです。

 政府が経済を支配し、国民の自由を奪う体制の下では、中国経済がこれ以上成長することは難しいでしょう。

 

天津市にある建設途中の商業地帯。入居者が入らないビルや、建設が止まったビル群が立ち並び、野生の動物が徘徊するなど荒廃した鬼城(ゴーストタウン)が増えている。写真:Imaginechina/アフロ

 

 


 

世界はこう動く

 

2015年、中国は経済危機を隠しつつ国際社会を巻き込む

 地方政府の破綻、国営企業の独占、情報統制──。経済の成長を阻む諸問題はどれも、自由のない体制に未来がないことを示している。そもそも、発表されている中国のGDPも、200兆円以上水増しされており、最近20年間の成長率は平均3~4%だという説もある。それを踏まえた時、2015年に世界はどのように動き、日本はどうすべきか。

 

◆ ◆

 

自民党

左翼陣営や財界、党内外の支持を得ようと「中国寄り」になり、中国の覇権に取り込まれる。

 

幸福実現党

消費税を5%に戻し、経済成長させる。

中国とは距離を置きつつ、民主主義諸国と「対中国包囲網」を形成する。

 経済危機と低成長に直面する中国は、その危機を隠しつつ、日本をはじめとする各国との、経済的なつながりに活路を見出そうとしている。

 例えば、近年大幅に減少している日本企業の投資を再び呼び込み、経済成長させたい。より多くの日本企業が進出し、両国経済の依存関係を深めれば、中国経済が危機に瀕した時も、日本政府から支援を引き出せるかもしれない、とも考えている。

 それを裏付けるように、中国は各国の財界の取り込みに余念がない。実際、高虎城中国商務相は9月、張富士夫トヨタ自動車名誉会長など、日本の主要企業トップで構成する日中経済協会の訪中団と会談した。

 日本の財界側も、中国経済の「高成長幻想」を捨てられない。その背景には、目下の日本経済が、消費税増税の影響で景気回復できないという現状もある。

 財界は「日中友好幻想」にも囚われ、安倍政権に日中関係改善を求める。日本が歴史問題などで譲歩するよう、要求するだろう。中国にとって、政治的にも好都合な存在となっていく。

 一方、今まで保守的政策を推し進め、左翼陣営や財界から批判されてきた安倍政権は、閣僚スキャンダルなどで勢いを失いつつある。安倍政権は、反対勢力からの批判を回避し、支持率を回復させるため、「中国接近」という方針転換を行うだろう。

 11月初旬に行われたアジア太平洋経済協力(APEC)で、安倍首相は、習近平・中国国家主席との会談を行った。これも、左翼陣営や財界へのパフォーマンスと言える。

 

 

アメリカはアジアから退き中国の覇権が広がる

 安倍政権が「中国接近」する背景には、アメリカの日中友好を求める圧力も見え隠れする。

 アメリカは、財政赤字を理由に軍事費を削減する中、アジアで紛争が起きることは避けたい。安倍首相が昨年、靖国参拝したとき、「失望した」と発表したのはそのためだ。「イスラム国」問題や、ウクライナ問題への対応に追われている現状であれば、なおさらだろう。

 これは、国際社会での影響力が低下しつつあるアメリカが「自由と民主主義を守る」という理想を失いつつあることを意味する。中国とも対等な関係を結び、お互いに住み分けする立場に立とうとしている。習近平国家主席も5月、「アジアの安全はアジア人が守る」というビジョンを示している。

 安倍政権がこうした情勢を変えられなければどうなるか。

 まず、このまま日本が経済的に中国への依存度を高めれば、中国の経済危機に巻き込まれる。日中友好路線に舵を切る以上、歴史問題でも、中国の誤った「日本悪玉史観」に反論できず、来年の戦後70年には、さらに誤った歴史観を世界に広げられてしまう。結果的に、中国が歴史問題を理由に、日本に対して経済的な利益を引き出す圧力をかけやすい環境を生む。

 目先の利益にとらわれ、「自由」の価値を認識しなければ、日本は中国経済の実態を見抜けずに取り込まれ、国際社会も自由が失われる方向に動いていくのだ。

 

 

幸福実現党は「自由」を軸とする国際秩序を打ち出す

 幸福実現党は、2009年の立党以来、中国の軍事的な台頭と、アメリカの影響力低下により、アジアや日本の自由が脅かされることに警鐘を鳴らしてきた。

 同党はその国際環境を生き抜くため、まずは足元の日本を「自由の大国」としていく。国内経済を成長させるために消費増税を中止し、税率を5%にまで戻すことを主張。これは、「小さな政府」に回帰することであり、中国的な統制経済と距離を置くことでもある。その上で、中国に経済的に取り込まれぬよう、国内企業が、いつでも中国から撤退できる環境を整える。

 同党は外交政策においても、香港の民主化を明確に支持し、台湾と「日台基本法」を定めて、同盟関係をつくることを目指す。アメリカやインドという大国とも協力し、さらにそこにはロシアを引き込む。韓国も合わせた「対中包囲網」をつくることで、世界の平和の実現を目指している。

 


 

5.韓国の反日運動の影響で日本はどうなる?

 

そもそも解説

 

アメリカでの慰安婦問題って何?

韓国系団体はアメリカで、「慰安婦の碑」「慰安婦像」を、私有地を含めて9カ所設置しています。今回は、カリフォルニア州フラトン市での新たな設置の動きを、現地の声を交えて伝えます。

 

 

2013年7月、カリフォルニア州グレンデール市につくられた慰安婦像。

写真:Yonhap/アフロ

「日本政府は、責任を認めて謝罪すべきだ」

 8月中旬、米下院外交委員長の重職を務めるエド・ロイス氏が、カリフォルニア州フラトン市議会でこう述べると、かたわらでダグ・チャフィー副市長は満足そうにうなずきました。

 ロイス氏が指摘する「日本の責任」とは慰安婦問題のこと。これは、韓国系団体が公立博物館の敷地内に「慰安婦の碑」の設置を求めていたことについて、検討する公聴会の一幕です。

 設置を求めたのは、「カリフォルニア州韓国系米国人フォーラム」。昨年来、日本でも大きく取り上げられている同州グレンデール市の「慰安婦像」の設置を主導した反日団体です。同フォーラムは、韓国系の市民に博物館の年間パスポートの購入を呼びかけるなど、十分に"根回し"をしていました。結局、公聴会に集まった日系人らの反論も届かず、3対2の賛成多数で碑の設置が採択されました。

 アメリカにおける慰安婦の碑や像は2010年10月、ニュージャージー州パリセイズパーク市に設置されたのを皮切りに、現在、9カ所にまで増えています。米州韓人会総連合会のイ・ジョンスン会長は、「全米の大都市すべてに慰安婦碑を建てる」と公言。白人の議員さえも、韓国系の票を得るために熱心に動き回っています。

 

 

慰安婦像の設置は「イタチごっこの状態」

9月30日、フラトン市に慰安婦の碑の設置に反対する約8千人分の署名を提出する有志。

 

抗日連合会が、来年9月にサンフランシスコ市内にオープンさせる抗日戦争記念館の予定地(中央の建物)。「人目につきやすい場所」と田口氏は語る。

 先のフラトン市の公聴会では、碑の設置が採択されたものの、最終的な設置の可否は、博物館の理事会に委ねられています。

 慰安婦問題という戦後につくられたウソを前提にした反日運動に憤りを感じた、複数の在米日系団体が協力。日本からのものも含め、設置反対の署名8千人分を同市に提出しました。この動きと前後して、日本国内でも、同市と姉妹都市提携している福井市議会が、設置に反対する決議を行いました。これらの動きが奏功したためか、博物館の理事会は結論を先延ばししています。

 しかし、理事会には2人の韓国系アメリカ人が含まれ、来年には博物館で「慰安婦展」を予定するなど、設置が許可される可能性は否定できません。署名集めに奔走した日本の市民団体「なでしこアクション」代表の山本優美子氏は本誌取材に、「こうした動きは、カリフォルニアでは頻繁に起きています。イタチごっこの状態です」と唇をかみました。韓国のロビー活動は、韓国系移民が多いカリフォルニア州やニュージャージー州などの一部に集中しており、日本側の主張が押されているのが実情です。

 

 

中国系団体が来年「抗日戦争記念館」を建設

 一方、日本国内では、慰安婦の強制連行を事実上認めた「河野談話」作成の検証が行われたり、長年、朝日新聞が報じてきた慰安婦報道の一部を誤報と認めるなど、慰安婦問題のウソが明らかになりつつあります。

 この動きについて、フラトン市の碑の設置反対署名に協力した幸福の科学サンフランシスコ支部の田口義明支部長は、「昨年、地元で河野談話の撤回を求める署名運動を行いましたが、その時よりも人々の反応は良くなっています」と手応えを感じている様子。しかし一方で、新たな問題への懸念も示しました。

「中国の世界抗日戦争史実維護連合会(抗日連合会)が来年9月、サンフランシスコのチャイナタウンに、南京大虐殺を伝える『抗日戦争記念館』をオープンさせようとしています。寄付金を募る様子は地元紙に掲載されたほどです」

 弊誌14年9月号でも詳述しましたが、抗日連合会は、南京大虐殺を全米に広めた『ザ・レイプ・オブ・南京』の著者アイリス・チャン氏を資料提供やPRなどで全面支援し、全米で50万部以上の売り上げに貢献した団体。中国政府とのパイプを持つとされる、筋金入りの反日組織です。記念館の建設を後押しする「フローレンス・ファン」という中国系財団も、サンフランシスコ国際空港と市内を結ぶ鉄道を経営しており、地元経済に大きな影響力を持ちます。

 さらに、田口氏によれば、抗日戦争記念館の建設の予定地から2、3分歩いたところにあるポーツマス公園にも、慰安婦碑の建立計画があるといいます。

 国際世論を形成する上で重要なアメリカの地で、韓国系団体の反日運動に共鳴するかのように、中国の活動も活発化しています。現在進行形で、「反日歴史包囲網」が形づくられようとしているのです。

 

 


 

世界はこう動く

 

2015年、国連が「反日歴史包囲網」に加担し日本を追い詰める

 

11月、中国の北京で開かれたAPECで、握手を交わす朴氏(左)と習氏。

写真:新華社/アフロ

 韓国の朴槿惠大統領は7月、国賓として訪韓した習近平・国家主席に対して、「来年は世界反ファシスト戦争勝利と朝鮮半島解放70周年に当たり、両国とアジア各国にとって、意義のある1年になる」と述べた。

「意義のある1年」を意訳すれば、「歴史問題で日本を追い込む1年」となるだろう。

 この動きと連動し、アメリカでの韓国系反日団体の「歴史戦」は激しさを増すに違いない。その象徴が、彼らが設置を進める新たな慰安婦の碑や像である。

 

 

習近平氏が主導する「反日歴史包囲網」

 だが気になるのは、前ページでも紹介した、「反日」で韓国系団体と共闘する中国系団体の存在だ。世界に対する影響力から言えば、彼らの運動を過小評価してはならない。

 実際、習氏は、来年を「反ファシズム戦争・抗日戦争勝利70年」と位置づけ、ロシアと共同で祝賀行事を行うことで合意。モンゴルの大統領を招待している。また、朝鮮半島解放70年を迎える韓国には、別の記念式典を共同で行う予定だ。国連に対しても、中国は6月、従軍慰安婦・南京大虐殺に関する資料をユネスコの「世界記憶遺産」に登録申請。さらに、来年9月に行われる国連総会の議題に、「第2次大戦勝利70周年の記念」を行うよう求めている。着実に「反日歴史包囲網」を築きつつある。

 

 

自虐史観を生む「河野・村山談話」を踏襲する安倍首相

自民党

政権延命を狙って、中国・韓国に歴史問題で譲歩。

戦後70年も、引き続き「河野・村山談話」を踏襲する。

 

幸福実現党

正しい歴史認識で日本の名誉を回復。

中国、韓国と距離を取る。

戦後70年を機に、「河野・村山談話」を白紙撤回する。

 問題なのは、こうしたウソを広める中韓に対し、安倍政権が反論しないばかりか、むしろ受け入れている現状だ。

 安倍晋三首相は2月、慰安婦の強制連行を事実上認めた「河野談話」の検証を指示。談話が、「当時の日韓両政府の合作」であった事実を示した。しかし、安倍首相は理由を語ることなく、同談話の踏襲を明言した。

 11月の北京での日中首脳会談でも、先の大戦が日本の侵略だったとする「村山談話」を引き継ぐ意思を示した。これは、衆院解散前に日中友好を演出し、左翼陣営や財界の支持を得るためのパフォーマンスと受け取れる。

 安倍首相は選挙で自民党が勝つため、政権の延命のためなら、いつでも「国を売る」人物なのかもしれない。終戦の日の靖国神社への参拝も見送った安倍首相は、保守層が期待するような気骨あるリーダーではない。これは、親中派が多い自民党そのものの限界でもあるだろう。

 

 

「日本の誇りを取り戻す」活動を続ける幸福実現党

幸福実現党

及川幸久・外務局長

 これに対し、幸福実現党は、歴史問題でも毅然とした態度を貫いてきた。今回の衆院選でも、「国防強化」の政策の中で、「慰安婦や南京大虐殺は戦後のつくり話であり、来年の戦後70年を機に、河野・村山談話を白紙撤回せよ」と主張。歴史問題の譲歩は、中国の軍拡を許し、日本の国防を危うくするからだ。

 実際に行動でも示している。昨年来、全国で「河野談話の白紙撤回を求める署名活動」を展開。今年4月までに13万筆超を集め、首相宛てに内閣府へ提出した。また、7月には都内で、中国によるユネスコ記憶遺産への申請登録に抗議する集会を開き、1700人でデモを行った。終戦の日には、釈量子党首をはじめ党役員ら40人で靖国神社を参拝。国を守るために命を落とした英霊に感謝の意を捧げた。

 同党の中でも、特に熱心に歴史問題に取り組むのが、外務局長の及川幸久氏だ。単身でアメリカに乗り込み、得意の英語を駆使して政治コメンテーターとして、現地のラジオ番組に出演。これまでに6局で中国や韓国に反論し、正しい歴史観を伝えている。リスナーからは「日本の立場を語る人はいなかった」「視点が新しい」という声が寄せられ、評判は上々だ。

 また及川氏は、昨年6月に米ニューヨークで、韓国系の市民団体「韓米公共政策委員会」のデビット・リー会長と、慰安婦問題について討論。日本に謝罪と賠償を求めるリー会長に対し、「強制連行を裏付ける証拠は一つもない」とはねつけた。

 国際舞台の第一線で戦う及川氏は、「歴史問題での攻勢は、韓国系団体もさることながら、中国系団体の影響は米政府や議会まで及んでいる。韓国が進める慰安婦像は見た目で分かりやすいが、中国は水面下のロビー活動で、日米同盟を分断しようとしている」と警鐘を鳴らす。

 幸福実現党は、「日本の誇りを取り戻す」ために、中韓のプロパガンダに対抗し、自虐史観を払拭する。

 


 

6.北朝鮮による拉致被害者は帰ってくる?

 

そもそも解説

 

金正恩ってどんな人?

北朝鮮のナンバー2であった張成沢が、2013年12月に処刑されて以降、北朝鮮と中国の関係が思わしくありません。一方で、北朝鮮の動きは分かりづらいのもまた事実。そこで、金正恩を中心とした北朝鮮の情勢を概観してみましょう。

 

 

正恩氏は健康悪化が心配されていたが、11月5日に軍を視察し、政権が盤石であることをアピールした。写真:KCNA/新華社/アフロ

 

 

 北朝鮮の最高指導者である金正恩・第一書記が表舞台に登場したのは、父親の金正日・総書記が亡くなった2011年12月以降です。

 しかし、後継者に決まっていた三男の正恩氏は、実績づくりのために、それ以前から国政に携わっていました。10代の頃、4年間のスイス留学を経験した正恩氏は、経済の立て直しの必要性を感じていたようです。

 09年には、国民を総動員して炭鉱や工場の生産目標を達成する運動「150日闘争」や、12年には、生産者に工業品などの販売の自由を一部認める「新経済管理改善措置(6・28措置)」などを主導。また最近では、外貨を得る手段として、遊園地やスキー場の建設なども進めました。

 しかし、これらはすべて失敗に終わり、経済の低迷を招きました。そもそも国民を恐怖で支配し、奴隷のように働かせる考えしかない正恩氏は、経済音痴なのです。

 

 

軍部の不満が恫喝外交を後押し

 これらの失敗した経済改革に動員された朝鮮人民軍120万人は不満を募らせていきました。もともと軍部は、貿易会社の経営や鉱山開発など、経済部門にも既得権益を持ちます。それを奪われかねない正恩氏の経済政策に反発しており、失敗の裏には、軍部の怠慢があったと言われています。

 一方で軍部はたびたび、正恩氏に軍事力による国威発揚を進言。経済政策の失敗を挽回したい正恩氏も、背中を押されました。具体的には、「150日闘争」の失敗が、10年の韓国の哨戒艦撃沈事件と延坪島への砲撃事件につながり、「6・28措置」の失敗が、13年の3回目の核実験につながったのです。核実験については、中国が自粛を求める中で強行したことを考えれば、正恩氏がいかに軍部の意向を優先したかがうかがえます。

 泥を塗られた形となった中国は、北朝鮮擁護の姿勢から一転して、国連の制裁に同調。中国四大銀行の一つである中国銀行も、北朝鮮の朝鮮貿易銀行の取引停止を発表するなど、両国の関係は一気に悪化していきました。

 

 

張成沢処刑で中国は北朝鮮への制裁強化

 ギクシャクした中朝関係の板挟みになった人物が、故・正日氏の右腕であり、正恩氏の後見人でもあった叔父の張成沢氏でした。中国とのパイプ役だった張氏は、中国からの投資を頼りに、日本海に面する羅先特別市などに経済特区を開設していました。

 ところが、中朝貿易の窓口であった朝鮮貿易銀行が、中国の制裁を受けたことで、貿易量は激減。また、張氏は秘密裏に、北朝鮮に流れてくる資金を独占したり、体制に批判的な正恩氏の兄・正男氏に生活費を送っていた事実などが分かり、処刑されました。死刑執行文の中には、「国の貴重な資源を安値で売ってしまう売国行為をした」とあるなど、名指しこそありませんが、その取引相手の中国を指していることは明らかです。

 核実験の強行や張氏の処刑などに腹を立てた中国は、北朝鮮に対して、二つの経済制裁に踏み切りました。一つ目は、長年、無償で援助してきた穀物と無煙炭、原油の三大支援を停止。二つ目は、北朝鮮の経済特区からの撤退でした。事実上の同盟関係にあった両国は、緊張状態に入ったのです。

 一方、中国から距離を置いた北朝鮮は今年に入り、日本の拉致問題の対応に乗り出したほか、ロシアにも接近。ロシアが北朝鮮の鉄道網の近代化のために、約2兆6千億円を投じることで10月に合意するなど、積極的な外交を見せています。

 

 


 

世界はこう動く

 

2015年、北朝鮮は中国と関係悪化しても恫喝外交を続ける

 

2012年、金日成主席生誕100周年に合わせて行われた軍事パレード。写真:AP/アフロ

 

 

自民党

北朝鮮の思惑を見抜けず、拉致問題で翻弄され、何の成果も得られない。

 

幸福実現党

北朝鮮の包囲網にロシアを取り込み金正恩政権を崩壊に導く。

 2014年に入り、国際社会には、北朝鮮は中国に見放されるという観測が広がった。「習近平に見捨てられた北朝鮮が向かうのは国家崩壊への道」(『2015 長谷川慶太郎の大局を読む』)といった予測もある。

 確かに、核実験の強行や中国とのパイプ役だった張成沢氏の処刑により、北朝鮮と中国の関係は悪化した。そうした中、北朝鮮が2015年、4度目の核実験を行えば、中国との関係は修復できないレベルに達するかもしれない。

 ただ、中国には北朝鮮を簡単に切り捨てられない事情がある。韓国に駐留する米軍の存在だ。金正恩政権を崩壊させたくても、その混乱の中で、米軍が中国国境に近づくことは避けたい。韓国をアメリカから離反させない限り、中国も思い切った北朝鮮対策を取れないということだ。

 逆に言えば、近年の正恩氏の大胆な自主外交は、そうした中国の状況を見透かしているとも言える。

 

 

中国依存からの脱却を図る正恩政権

 最近、正恩政権は、ロシアとの関係強化に乗り出している。昨秋には、北朝鮮の羅津港とロシアのハサンを結ぶ国際鉄道を開通させ、ロシアから北朝鮮への石油輸出は約40億円(前年比6割増加)を記録。今年6月にも、ロシア銀行に初めて北朝鮮の口座が開設され、北朝鮮への直接投資が拡大している。

 このように、北朝鮮は、中国依存からの脱却を目指している。ロシアが感じる中国への潜在的な脅威を巧妙に利用した形でもある。ロシアの支援があれば、アメリカが主導する国連の制裁や、韓国独自の制裁をすり抜けられ、政権を延命させられる。

 

 

拉致で足元を見られた安倍首相

 こうした中、日本の安倍晋三首相は今春、支持率の回復を狙って拉致問題に飛びつき、独自の制裁を一部解除した。しかし、北朝鮮が提示するのは日本人戦没者の遺骨返還に関することのみ(11月18日時点)。安倍首相は正恩氏に足元を見られた格好だ。

 しかし、安倍首相が描く北朝鮮外交では、拉致問題の解決以外に何があるのか。もちろん、日本人にとって拉致は重要な問題であるが、北朝鮮は日本にミサイルを向ける脅威の国だ。05年に開かれた6カ国協議で、北朝鮮は「核の放棄」に同意したものの、翌年核実験を行い、簡単に合意を反故にした。そうした「ならず者国家」が相手であれば、独裁体制の崩壊を構想するほどの気概がなければならないはずだ。

 

 

北の脅威で発足した幸福実現党だから正恩政権を崩壊させられる

 そうした可能性がある政党は、日本で唯一、幸福実現党しかない。09年春、北朝鮮の恫喝に何ら有効な反論もできない自民党政権に、「国難」を読み取り、立党した同党は、一貫して北朝鮮の脅威を訴え、その年の衆院選で憲法9条の改正を公約に掲げた。また、宗教政党の強みを活かし、北朝鮮の人権状況なども繰り返し問題提起している。

 それに比べて、安倍首相は、北朝鮮問題を拉致だけに矮小化する向きがある。有権者ウケする政策に留めておきたい思惑があるのかもしれない。

 さらに、幸福実現党は、ロシアとの戦略的な関係構築を訴えている。その狙いは、中国包囲網の形成だが、北朝鮮外交にも適用できる。ロシアを日本側に抱き込めば、北朝鮮を背後から牽制できる上に、中国にも脅威となるであろう。ロシアも、日本への資源の輸出を期待したり、中国に対する脅威を感じているからだ。

 日本は、これまでの常識にとらわれることなく、戦略的な外交をすべき時にある。

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