ざっくり言うと

自民党、公明党、民主党、次世代の党など、「いじめ問題」の解決を掲げる。

「道徳教育」だけでは、正しい善悪の基準は教えられない。

勤勉な子供、熱心な教師、民間の力を生かし切る教育改革が必要。

教育現場は様々な問題を抱えています。2013年度の小学校のいじめ認知件数は11万9千件と、過去最高を記録しました。また、学力の向上も大きな課題です。「ゆとり教育」は方針転換されましたが、OECD(経済協力開発機構)が実施する学力調査などを見ると、まだゆとり以前の水準に戻っていません。教育は「国家百年の計」。国家の未来を左右する教育政策に、各党はどう取り組むのでしょうか。

いじめ問題をどう解決する?

まずは、いじめ問題について。政権与党の座にある自民党は、「教育行政の責任体制の明確化等を行い、いじめ問題に的確に対応できる体制を整えると共に、道徳教育を充実させる」としています。民主党と公明党は「いじめ防止対策推進法の厳正な運用」を挙げています。

しかし現状では、いじめや学力低下の問題について、「誰が責任を取るのか」がハッキリしていませんし、罰則を伴わなければ、その「責任」はあいまいなものになりかねません。この点、幸福実現党は、「いじめを放置・隠ぺいした教員や学校への罰則がない『いじめ防止対策推進法』を見直す」と明言しています。

自公政権下で成立した「いじめ防止対策推進法」は、いじめを行った生徒への罰則は設けられましたが、いじめの隠ぺいを行った教師や教育委員会への罰則はありません。学校現場がいじめに真正面から取り組む姿勢を見せなければ、学校に安心して通えるようにはならないでしょう。

いじめ対策として、道徳教育の充実を掲げる党もあります。

自民党や次世代の党が訴える道徳教育は、一定の評価ができますが、自民党がかつて訴えていた「宗教情操の涵養」「宗教教育」といった言葉が、今回の政策集に盛られていないことは残念です。道徳のベースには宗教があります。宗教精神のない道徳教育は、時の政府の恣意的な考えが「道徳」とされ、国民に強要される危険性もあります。

この点、幸福実現党は「善悪の価値観、自助努力の精神、寛容の心などを教える道徳教育、宗教教育の充実」を明確に掲げています。宗教教育は善悪の判断基準を明確に示すだけでなく、国際社会で教養人として振る舞うためにも必須の教育内容といえます。

学力を向上させるための秘策

次に、学力向上への政策について見てみると、各党ともあまり具体策はなさそうです。次世代の党は「国際的に第一級の知力を持たせる」とうたっていますが、具体策は分かりません。他の党も、学力向上というより、授業料をどうするかという社会福祉的な議論に終始しています。

自民党は「幼児教育の無償化」、民主党は「所得制限のない高校無償化」、共産党は「教育費負担の軽減・無償化」を掲げますが、いずれも税金が必要な“バラマキ"政策です。

無償化は、教育を受ける側である生徒や保護者のニーズには必ずしも合っていません。実際に、都市部では、授業料が高くても学力を伸ばしてくれる私立学校に多くの学生が集まります。公立の小・中学校は授業料を取りませんが、学力が伸びず塾通いを余儀なくされている児童や生徒がたくさんいます。結果的に、金銭的、時間的にも子供や保護者の負担を増やしています。無償にするよりも、既に税金をつぎ込んでいる公立学校の質の向上を考えるべきでしょう。

公明党は「少人数学級および少人数教育の定着化、長期的な視点に立った教職員定数の計画的な改善に取り組むとともに、教員と学校現場の質の向上を図る」と、少人数学級が質の向上につながるかのような言い方をしています。民主党や共産党なども、少人数学級の推進を掲げています。

しかし、教師の人数を増やすなど少人数学級を進めるには膨大なおカネが必要になります。根本的な問題は、教師の質です。塾や予備校に「カリスマ講師」がいて、授業が全国に中継されることを考えれば、理解できるでしょう。この教師の質を改善しない限り、少人数であっても学力向上やクラス運営の改善にはつながりません。

その点、幸福実現党の教育政策は「塾を学校として認めるなど、学校設立の自由化を進める」「全国学力テストの実施と結果の全面的な公開を実現して、学校間の競争を促す」というもので、他党にはない新鮮さがあります。「塾を学校と認める」など、学校設立の自由は、教育を受ける側の選択肢を増やします。

さらに、全国学力テストの結果公表によって、教師間、学校間の切磋琢磨が生まれ、公立学校の教育の質の向上が見込まれます。こうした教育政策を進めることで、子供を塾に通わせることのできない、低い所得の家庭の子供でも、質の高い教育を受けられるようになります。

教育に、もっと自由を

さまざまな規制が、国民の自由を制限していませんか?

また、私立学校の設立をめぐる許認可権や補助金など、文部科学省の権限が必要以上に大きくなり、国民の「自由」を大きく制限している問題があります。

「幸福の科学大学」の不認可問題で明らかになったように、私立大学を設立するのに非常に細かい規制があり、新規参入を阻んでいます。また、静岡県の川勝平太知事が全国学力テストの結果を公表したことについて、下村博文・文科相が「ルールを破った」と怒りましたが、公表することによって教える側の教師や学校間の切磋琢磨が生まれ、教育内容が改善されるのであれば、ルール(規制)の方こそ変えるべきでしょう。

各党に期待したいのは、「生まれや親の職業などに関係なく、多くの人々にチャンスの平等が用意され、その人の努力に応じて、勉強の成果によって身を立てられる社会は良い社会だ」という価値の共有です。「教育は国家百年の計」であるという言葉をかみしめ、勤勉な子供、教育熱心な教師をつくる。そして、多様な教育ニーズに応え、民間の力を生かし切る教育改革が求められます。

2014年衆院選 教育問題 各党政策比較

教育問題
自民党 指導要領改訂、新しい教科書検定
いじめ対策、道徳教育の充実
奨学金の充実、幼児教育無償化
公明党 小人数学級の定着化
いじめ、不登校対策
奨学金の充実。幼児教育無償化
幸福実現党 学校設立の自由化、塾の公認
いじめ対策の強化、学力再建
宗教教育、自虐史観の克服
民主党 35人以下学級の堅持
所得制限なき高校無償化。「給付型奨学金」の創設(返済不要)
維新の党 教育行政の権限を地方自治体や学校長に移管。責任体制の明確化
「使える英語教育」に抜本改革
次世代の党 国際的に第一級の知力教育
バウチャー制度の導入
愛国心教育、道徳教育
共産党 待機児童ゼロ。子どもの貧困対策
奨学金の無利子化。給付型奨学金の創設。教育予算の増加。(※)
社民党 ゆとりある学校づくり、いじめをなくす。子どもの権利基本法制定
教員増で30人以下学級の達成
生活の党 教育の家計負担の軽減(子育て応援券、高校無償化、給付型奨学金)
希望者全員に高等教育を
比較の
ポイント
(対立軸)
成果重視の教育vs.予算消化型
自由化路線vs.日教組路線
バラマキ型教育を認めるか否か
いじめ対策の本気度
※印は、党首発言など党のスタンス。

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