ノーベル経済学者、ポール・クルーグマン氏や、世界的な投資家として知られるジム・ロジャーズ氏が、日本の消費増税が間違いだったことを指摘している。

クルーグマン氏は、「週刊現代」(12月6日号)で、消費税を8%から5%へ戻すべきだと主張し、消費増税のせいで、アベノミクスが失敗する可能性を示唆した。ロジャーズ氏も同様に、消費増税がGDPのマイナス成長を招いたことを「当たり前だ」とし、安倍政権に対して、税率を5%に戻すよう呼びかけた。

経済学者の間では、消費増税の功罪に対する意見が分かれている。GDPのマイナス成長を問題視する者と、日本の財政赤字を減らすために消費増税は必要だと主張する者がいる。

クルーグマン氏は前者であり、ニューヨーク・タイムズ電子版に掲載している自身のブログでも、その理由を説明している。同氏は、「日本の選択肢を、経済回復と財政再建の二つに分けるのは間違っている」ことを指摘。なぜなら、「日本がデフレから脱却できなければ、財政の再建などできないからだ」と言う。

安倍政権は、世界に対して消費増税を約束したことを気にしているのかもしれないが、同氏は、「日本が世界の信用を失う心配をする必要はない」と断言する。たとえ信用を多少失ったとしても、「それが日本のデフォルトに繋がることはない。日本は自国の通貨で国債を発行しているから、お金を刷れば良いのだ。それはインフレに繋がるが、デフレに苦しんでいる日本にとって、それは良いことだ」「消費増税はデフレをさらに酷くするだけだ」とした。

同氏の主張は正しく、お金を刷ればデフレ脱却にもつながり、まさに一石二鳥なのだ。

消費増税派は、2011年に国際通貨基金(IMF)などから、「増税は経済成長にさしたる影響はない」などというお墨付きをもらったが、これはウソだったということはもはや明らかだ。

そろそろ、「財政再建のために増税すべき」という安易な政策を、ウソとして認識しても良いころである。

いま日本に必要なものは、「消費減税」「金融緩和」「財政出動」によるデフレ脱却、さらに「規制緩和」で経済発展の環境を整え、国民の創造性を最大限に発揮することである。日本は、経済再建・成長を成し遂げるために、まだやることが多くある。その第一歩である「消費減税」の是非で足踏みしている場合ではないのだ。(中)

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