これまで2回にわたり、「消費増税してはいけない理由」を紹介してきましたが、連載の最後となる今回のテーマは、「自民党は、消費税10%でやめません。まだまだ上げます」という論点で締めたいと思います。

安倍晋三首相は、「消費増税10%」を1年半後、つまり、2017年4月に先送りしました。これは、22日付の「その1」でも紹介したように、「どんなことがあっても、必ず10%に上げる」という、恐ろしい宣言です。

でも、注意すべきことがあります。「10%にしたら、もう上げない」とは、誰も言っていないのです。

実際に、自民党の谷垣禎一幹事長は今年9月、消費増税10%の必要性を強調した上で、「先の借金をどう返していくかというところは、まだ全然、手がついていない」と、2020年以降に、さらに増税が必要だという認識を示しています。

消費税で、社会保障を守ろうとすると、税率70%が必要

自民党が消費増税にこだわる理由は、「社会保障制度を守るため」です。果たして、消費増税で社会保障の問題を解決することはできるのでしょうか。

例えば、国連の専門機関である、国際通貨基金(IMF)は、日本は財政難を回避するために、将来的に消費税を15%まで引き上げるべき、と指摘しています。

また、一橋大学などの試算では、日本が将来の社会保障費をまかなうには、30%~40%ほどの消費税が必要であるとしています。早稲田大学の原田泰教授にいたっては、2060年の時点で消費税は68.5%にしなければ社会保障費をまかなえないと指摘しています。

増税で企業の倒産・失業者が増えると、彼らを救うために政府はまた増税する

しかし、社会保障費をまかなうために増税して、企業の赤字・倒産や失業者を増やし、政府が彼らを「助ける」ために、バラマキ政策をおこなって、さらに増税する。つまり、増税路線では、この悪循環から抜け出すことはできません。そればかりか、国民がドンドン貧しくなって、政府が国民の人生をコントロールする「大きな政府」ができ上がります。大事な価値である国民の「自由」が失われていくのです。

結局、消費増税は、社会保障制度を守るための答えにはなりません。もちろん、社会保障制度そのものにも問題があります。

いずれにしても、政府の税収を増やすには、幸福実現党が主張する「小さな政府」が必要です。消費税を5%に下げるとともに、さまざまな規制を緩和して、また、私立大学の認可などを含む許認可行政の撤廃を進め、行政のムダを省き、国民が自由にお金を使う中で、日本経済全体を成長させていく。これが、今の日本に必要な政策なのです。

【関連記事】

2014年4月30日付本欄 資生堂が消費増税後2週間で売上30%ダウン 安倍政権は、これ以上、国民を苦しめるな

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7771

2014年6月号記事 自民党が選挙後 幸福実現党を後追いする理由

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7727

2014年3月号記事 アベノミクスは共産主義化した? (Webバージョン) - 編集長コラム

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7258

2013年12月号記事 「税と社会保障の一体改革」という幻想 (Webバージョン) - 編集長コラム

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6890