政府が13日に発表した4-6月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比1.7%のマイナスとなった。このペースが1年間続いた場合の値を示す年率換算では、6.8%の減少。東日本大震災があった2011年1-3月期の、マイナス6.9%に迫る落ち込みとなった。4月に行われた消費増税の影響が顕著に出たかっこうだ。

特に目立つのはGDPの約6割を占める個人消費の落ち込みで、前期比5.0%の減少を記録している。増税前の駆け込み需要で、1-3月期は年率6.1%増だったが、今度はその反動があらわれた。しかし、消費の減少のうち、駆け込み需要の反動と、消費増税が家計を苦しめたことの結果が、それぞれどの程度の影響を与えたのかについて、慎重に見極める必要がありそうだ。

前回の1997年の増税後に、日本経済が15年ものデフレ不況に陥ったことから、今回の消費税率引き上げをめぐっては、その二の舞になる危険性が指摘されていた。しかし、今回発表された数字を見る限り、97年の時よりも事態は深刻なのかもしれない。

97年4-6月期の実質GDPは年率3.5%減で、今回の落ち込みの方が大きかった。個人消費も、97年4-6月期が3.5%減だったのに対し、今回は5.0%の落ち込みとなった。

政府は、年内にも10%への消費税率再引き上げを決定する予定で、次の7-9月期のGDPの値は大きな判断材料となる。甘利明・経済財政担当大臣は7-9月期の経済の先行きについて、「駆け込み需要の反動で下がったのを受けて、かなり上昇することは間違いない」として、補正予算による景気対策は「現時点で必要性を感じていない」と述べている。

しかし、駆け込み需要の「反動の反動」で、一時期はGDPが回復しても、家計への負担が長期にわたって続く消費増税の影響を甘く見てはいけない。一貫して消費増税に反対してきた嘉悦大学の高橋洋一教授は、自身のTwitterで次のように楽観論を戒めている。

「7-9月期はよくなるというが、、『死んだネコでも放れば弾む』(Dead Cat Bounce)というからね。どのくらい弾むかはそのとき次第。確かに弾むが、元には戻らない、死んでいるから。」(原文ママ)

4月の消費増税はすでに97年をしのぐ悪影響を日本経済に与えており、このまま再増税に踏み切れば、賃金が思うように上がらない中で、国民生活はさらなる苦境に落ち込むことになる。再増税は延期すべきだ。

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