新疆ウイグル自治区のカシュガル地区で28日に深夜に襲撃した事件の死傷者は100人以上に上り、50人以上が死亡したと報道されている。ウイグルでは5月下旬にも、ウイグル人による爆発事件で39人が死亡するなど事件が多発。報道では「ウイグル族の不満」「反発」によるものとされている。

しかし、この事件の背景には、無宗教の立場をとる中国政府が、イスラム教徒であるウイグル人に対して行う激しい宗教弾圧がある。

中国政府は今年のラマダン(断食)月に断食やモスクでの宗教活動を禁止したり、各家庭を回って、禁止されているスカーフを着用している女性を取り締まったりしていた。地元当局者は、このような取り締まりが行われ、7月初旬に5人家族が警察によって殺されたことが、今回の襲撃の引き金になったとの見方を示している(30日付ラジオ・フリー・アジア)。

米国務省の信教の自由に関する2013年度の年次報告書では、中国を「特に懸念される国」に指定。ウイグル人については、亡命した人を連れ戻したり拷問したりしているという実態を報告している。

さらに、ウイグルで政府に対する批判を行うのは命がけのことだ。ウイグルのウルムチ市の検察は30日、中国の民族政策を批判するウイグル族学者のイリハム・トフティ氏を「国家分裂罪」の容疑で起訴した。思想や信教の自由を認めず、圧倒的な力によって支配されている中で起きた襲撃事件を、単にテロや民族対立と片付けて良いのだろうか。

世界ウイグル会議の議長であるラビア・カーディル氏は、本誌2月号で紹介した釈量子・幸福実現党党首との対談で次のように話した。

「日本は、アジアで抑圧・虐殺されている民族を救い、他国に侵略された国を自由にする。こうしたことに、もっと力を入れるべきです。それが日本の果たすべき役割、責任です。中国の覇権拡大など許してはいけません」

日本政府が集団的自衛権の行使を一部容認する閣議決定をしたことについて、国内の一部マスコミは「戦争に巻き込まれる」などと批判している。しかし、中国の脅威が迫るフィリピンや台湾、ベトナムなどで有事が起きた際、日本が何もしないということで果たして許されるのか。ウイグルの人々が再び自由を手にするためにも、日本は中国の軍事拡張主義にブレーキをかけ、アジアに自由と平和をもたらすという重要な役割を担っていく必要があるだろう。(晴)

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