2014年3月号記事

中国・新疆ウイグル自治区の実態に迫る

厳戒態勢のカシュガル潜入レポート

昨年10月に北京の天安門前で起きた車両炎上事件。

この背景には、半世紀以上にわたる

中国共産党のウイグル人弾圧があると言われる。

インターネット番組「ザ・ファクト」の取材班は

同12月に、新疆ウイグル自治区の都市カシュガルを訪れ

厳しい弾圧の実態に迫った。

(取材/文「ザ・ファクト」ディレクター)

中国天安門前で車突入・炎上

カシュガルでは、街中に監視カメラが設置されている。

そこは「別の国」だった。ウイグル人の風貌や言葉、ウイグル文字が書かれた看板が並ぶバザール、街の至る所に建つモスク──。新疆ウイグル自治区の都市カシュガルに足を踏み入れると、北京の光景とのギャップに、「中国」にいることを忘れてしまう。

さらに街を歩くと、「徹底的な監視社会」との印象を強くした。街の至る所で、監視カメラと警察の姿を目にする。

中国の治安組織は3つに分類される。日本の警察にあたる「公安」、公安の対テロ特殊部隊である「特警」、国内の治安維持を目的とした準軍事組織である「武装警察」だ。特に街では、公安と武装警察の姿が目立った。

街の中心部では200メートル間隔の辻ごとに警官が立っており、通りではパトロール中の公安や武装警察の車両が頻繁に行き交った。 感覚的には、1分ごとに警官を目にする感じだ。

元公安関係者によると、この厳戒態勢は、5年前、ウルムチ大虐殺をきっかけに始まり、 ウイグル自治区の公安は、他省よりも給料が数倍高いという。治安が悪化し、危険が伴うからだろう。

なお、5年前のウルムチ大虐殺とは、中国広東省でのウイグル人殺害に抗議して行われたウルムチでの平和的なデモを、中国政府が武力で鎮圧したもの。2千人近くの死傷者が出たといわれるが、この非道な弾圧を指示した人物が、当時副主席だった習近平国家主席である。