インド国民が有効期間内に何度も訪日可能になるビザが7月初旬から発行され始めた。日本政府は2000万人の訪日を目指しており、インドネシアやフィリピン、ベトナムなどのビザも緩和すると発表している。

訪日観光客を増やす狙いはまず、経済効果だろう。海外からの観光客がもたらす経済効果は、830万人が訪れた2012年には1兆3千億円規模に上った。

訪日者数が増える際のメリットは経済面だけではなく、親日度のアップもある。2005年にビザを免除した台湾からの訪日者数はおよそ2倍になり、同時に、台湾の人々の「もっとも好きな国」は以前はアメリカだったが、今では日本に代わっている。日本のイメージを貶めようとする中韓の作戦に対抗して親日国を増やすためにも、アジアの人々の訪日者数は増やす必要があるだろう。

安倍首相は7月、オーストラリアやパプアニューギニア、ニュージーランドなどを歴訪し、天然ガスの取引量を増やすなどの声明を発表。資源外交に力を入れ、パプアニューギニアでは「両国の経済成長につなげていきたい」と語った。アジアでの資源外交には、エネルギー源を分散させ、ホルムズ海峡などのリスクを分散させる狙いがあると見られる。

こうした経済の面においても、アジアの国々と関係を深めることは重要だ。以前、尖閣諸島での領有権をめぐって日中の対立が明確になった時、中国はレアアースの輸出をストップ。さらに中国はフィリピンに対してバナナの輸入に制限をかけ、ベトナムについてはライチの輸入量を減らすなどして圧力をかけた。領有権で対立すると、相手国に対し"経済制裁"を与えようとするのが中国の常套手段だ。

中国の傍若無人ぶりには、その経済規模の大きさから「中国なしでは立ちいかないだろう」とアジア諸国の足元を見る部分が大きい。日本はアジアの盟主として他の国々と協力し、中国なしでやっていける体制をつくることが、安全保障につながっていく。

ビザの緩和、資源外交はともに、アジア各国と日本の結びつきを深め、中国包囲網を念頭に置いたものと見られる。集団的自衛権の行使容認の閣議決定と併せて、こうしたアジア外交が国防上、必須であることは間違いない。(居)

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