ウクライナの対立が収束しない中、ポーランドを訪問したアメリカのオバマ大統領はこのほど、10億ドル(約1000億円)の資金を拠出するなどして、欧州安全保障を強化していく方針を明らかにした。また、ポーランドのコモロフスキ大統領も、軍事費をGDP比2%にまで引き上げると語った。

ウクライナ東部のルガンスク州とドネツク州では、政府軍と親露派との激しい戦闘が続いており、これまでに100人以上の死者が出ている。これに、アメリカなどの欧米諸国は、東部地域の混乱にロシアの義勇兵が関与していると見て、同国を批判し、さらなる制裁をちらつかせている。

しかし、アメリカやポーランドもまた、東部の混乱を助長しているという報道がある。

ニコライ・マリシェフスキー氏は、「ストラテジック・カルチャー・ファンデーション」のサイト上で、ポーランドの軍事会社(ASBS)が、ウクライナ東部に傭兵を派遣していると語っている(5月28日)。記事には、アメリカやウクライナが東部地域の鎮圧に必死になる理由として、同地域に埋蔵する莫大なシェール・ガスの存在を指摘。すでに石油メジャー「ロイヤル・ダッチ・シェル」が、開発の権利を主張しているという。

他にも、ドイツのビルト紙は11日、同国の諜報機関「連邦情報局(BND)」の情報として、アメリカの軍事会社「アカデミ」が、400人の傭兵をウクライナ東部に送り込んでいると報じた。前出のニコライ氏は、「アメリカとポーランドの傭兵は、シェール・ガスの掘削予定地点に集中している」と指摘しているが、これらが偶然の一致であるとは思えない。

実際、アメリカのバイデン副大統領は、ウクライナの天然ガス会社の取締役に、自身の息子を就任させるなど、アメリカは資源を獲得するために動き回っている。一方のポーランドは、ロシアに侵略された歴史を持ち、脅威を感じていることを考えれば、同国がアメリカを支援するのも無理はない。

傭兵を送り込む欧米諸国が、ウクライナの鎮静化を訴え、ロシアを批判することは、茶番であると言わざるを得ない。日本は、欧米の対ロ制裁に同調しているが、制裁に同調しなければならないのか、今一度、考える必要がある。(慧)

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