習近平・中国国家主席はこのほど、空軍施設を視察し、「空と宇宙を統合し、攻撃と防御を兼ね備えた強大な人民空軍の構築を加速して、中国の夢、軍事力強化の夢の実現をゆるぎない力で支えなければならない」と語った。中国共産党の機関紙「人民日報」(電子版)が15日付で報じたもの。習氏はこれまでも、中国を「宇宙大国」にしたいと公言し、宇宙開発に力を入れてきたが、今後もその流れが加速するものとみられる。

中国はここ20年、急速な宇宙開発を行なってきた。中国の宇宙研究開発費は非公開だが、ロシア、アメリカに次いで有人宇宙飛行に成功し、月の調査にも乗り出している。さらに、現在、宇宙ステーション「天宮」の建設計画が2020年の完成に向けて進行中だ。

宇宙技術の軍事利用も進めてきた。2007年には、ミサイルによる気象衛星の破壊実験を行い、昨年には新規の衛星攻撃兵器のテストをおこなった。このような中国の動きは、米軍対策をにらんでのことだ。米軍の戦略防衛システムは衛星による高度なネットワークシステムに依存しており、この衛星システムを攻撃されれば、米軍は指揮命令系統や情報システム、攻撃システムなどに壊滅的な被害を受け、大混乱に陥りかねない。

米軍の危機は、日本にとっても他人事ではない。国防をアメリカに頼ってきた日本は、ミサイル防衛一つをとっても、アメリカの情報技術に依存しきっているからだ。中国軍は何百発もの弾道ミサイルを保持しており、日本の都市へ照準を向けているとの情報もある。

中国軍備管理・軍縮協会副理事長の胡豫閩(コ・ヨビン)氏は、18日付の人民日報(電子版)への寄稿で、宇宙技術がアメリカの軍事的な優位性の維持に貢献してきたことを指摘した上で、アメリカの独占的な宇宙利用を批判した。また、中国やロシアが、宇宙空間の軍事的な利用を防止する条約を推進してきたと主張し、新たな行動規範制定の必要性も訴えた。胡氏は「宇宙は人類にとって、かけがえのない資源であり、世界各国は、宇宙を平和利用する平等な権利を共有していると同時に、宇宙の安全を維持する共同の責任を負っている」との主張である。

安全保障は新たな時代を迎えようとしている。しかし、宇宙開発でアメリカや中国、ロシアに大きく遅れをとっているままでは、日本には、相変わらず発言力はないだろう。日本は憲法9条で自らに手錠をかけて、がんじがらめになっている場合ではない。平和を愛する日本人が、高いリーダーシップを発揮し、世界の平和と発展に責任を持つべきだ。そのためにも、早急に憲法9条を改正し、防衛技術としての宇宙開発の推進が必要である。

(HS政経塾 和田みな)

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