JR北海道の島田修会長はこのほど、札幌市の本社で記者会見を行い、2016年春に新青森~新函館間で開業予定の北海道新幹線用車両で使われる概要、デザインを発表した。基本仕様は、JR東日本のE5系と同じで、帯の色や、内装の一部に北海道独自のデザインを採用している。最高速度は時速320kmだが、営業最高速度は時速260kmで、在来線との共用走行区間は時速140kmで走る。なお、2035年度末には、新函館~札幌間が開業予定である。

現在、全国に新幹線の交通網が拡大している。2015年春には、北陸新幹線の開通も予定されている。最近では、2011年の九州新幹線の全線開通が記憶に新しい。同新幹線の全線開通に伴い、博多~鹿児島中央間の所要時間が2時間12分から1時間17分に短縮された。また、開業初年には、博多~熊本間の利用者数は開業前と比べて38%増加し、熊本~鹿児島間の利用者数は約64%増えた。さらに、九州7県での観光消費額は約11%の大幅な上昇率を記録している。九州新幹線の全線開通がいかに大きな経済効果を生み出したか分かる。

これほどの経済効果を生む新幹線だが、60年代の東海道新幹線建設時は、必ずしも世論は肯定的ではなかった。建設時、先進国ではすでに鉄道は斜陽化しており、新幹線は、「ピラミッド、万里の長城、戦艦大和」の“世界の三大馬鹿"に次ぐ大馬鹿と罵られていたほどだ。しかし今では、新幹線開通が日本の高度成長の礎となり、現在の日本の経済を支えていることを疑う人はいないであろう。

京都大学の藤井聡教授は、新幹線開通の経済効果として、ビジネスの立地が進むこと、都市の昼間人口と夜間人口の増加で需要が創出されること、地域の機能集中化が進み、経済発展のスパイラルが起こることの3点を指摘している(「金沢LRTだより第13号」。2013年9月発行)。交通網の発達と経済発展は密接な関係にあることが分かる。

2020年には東京オリンピックが控えており、日本を海外にアピールするチャンスでもある。新幹線より便利なリニア新幹線の開発も始まっている。交通革命を起こすことで、もう一段階日本の経済力を上げ、日本を世界のモデル国家にしていきたい。(冨)

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