政府が5日にまとめる予定の「5兆円規模の経済対策」に関し、3日付日経新聞がその素案を報じた。経済対策には、介護や防災対策、震災復興など、幅広い分野から経済活性化を促す施策が盛り込まれる見通しだ。

なかでも注目すべき施策は、2020年東京五輪に向けたインフラ整備の加速で、首都圏の環状道路整備が前倒しされること。90年ほど前に、首都圏交通の骨格として計画された3本の環状道路は、整備が遅れ、いまだに「ぶつ切り」状態だ。それにより、「首都圏を通るだけ」の車が都心に溢れ、慢性的な渋滞を引き起こしている。道路整備の前倒しで、首都機能が一気に向上することが期待できる。

それ以外にも「五輪に間に合わせよう」と、近隣住民の反対で止まっていた外環状の練馬―世田谷間の建設や、棚上げとなっていた地下鉄の延伸計画が動きつつある。五輪を機に一気に交通インフラ整備を進めようとする流れに対し、猪瀬直樹・東京都知事は「オリンピックだといって、あれもこれもやりたいといろいろな便乗が出てくる。そういうことが横行しやすい」とクギを刺している。

しかし、今回の五輪は東京や日本の未来都市を構想するまたとないチャンスだ。これほど国民全体が「未来志向」になる機会を逃してはいけない。

国民の追い風のなかで、思い切ったインフラ整備が日本を変えた例が、1964年の東京五輪に合わせた東海道新幹線開通だ。当時新幹線構想には「鉄道は斜陽産業だ」という悲観論や、「資金不足」といった多くの課題があった。しかし、当時の池田勇人総理の「絶対に五輪に間に合わせろ」という厳命のもと、5年という短期間で完成してしまった。その新幹線が、日本を高度意経済成長に導いた。

逆に、そうしたチャンスを逃がしてしまったのが、90年前に後藤新平内務大臣が立てた都市計画だ。関東大震災の復興構想として、先出した「環状道路」や「100メートル道路」などを立案したが、その計画は「大風呂敷」と批判され、一部しか実現されなかった。その後の車社会到来による慢性的渋滞や、住民の地権主張が障害となり一向に進まなかった環状道路整備を考えると、計画が実行されなかったことは悔やまれる。

五輪を機に、環状道路など様々なインフラ整備が進んでいることは歓迎できる。しかし、リニア新幹線の先倒しや立体交差点による交通円滑化、超高層化による空中の有効活用など、やれることはまだ山ほどある。この「追い風」を最大限に生かして、日本を一気に未来社会へと発展させるべきだ。(光)

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