韓国で先月24日と31日、それぞれ最大1.9メートルと2.5メートルの無人機が北朝鮮との国境付近で発見され、バッテリーに記載されていた文字から、北朝鮮製と確認された。どちらもカメラを内蔵しており、24日に登山客に発見された無人機のカメラには190枚以上の写真データが残っていた。

韓国国防省は2日、中間報告として、この無人機が北朝鮮製の無人偵察機であると発表した。

報告によると、2つの無人機は、発射台から打ち出されて、もともと設定されていた航路を飛び、北朝鮮に戻って回収されるように設計されていたと見られる。内部には北朝鮮に戻れるだけの燃料が残されていた。カムフラージュのためか、空色に塗られて雲の模様が描かれているなど、写真を見る限りおもちゃのように見える。実際、無人機は、日本製の高性能カメラが搭載されていた他は、おもちゃと同じような材料で作られていたようだ。

カメラに収められていた写真の中には、大統領の官邸を上空300メートルの高さから撮ったものも含まれており、それは1メートルほどの物体を区別できるほど精細なものだったという。

さらに無人機は20~30キロの火薬を搭載することが可能だったとのことで、「爆発物を搭載していれば、大統領府に対する爆弾テロも可能だった」と、韓国国内からは対空警戒が足りないとの声が上がっており、韓国政府は2日、国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開いて対策を協議した。韓国の現在の探知レーダーで小型無人機は探知できないため、対空防衛を強化する方針だという。

無人機と言えば記憶に新しいのが、米CIAがアフガニスタンのウサマ・ビンラディンの居場所を発見する際に、偵察で使ったことだ。北朝鮮は今回、そのやり方を真似たのだろうが、結果的に墜落してしまい、写真データを回収できなかったようだ。だが、韓国側としても、そうしたおもちゃのような無人機に、国の中枢部である大統領官邸上空にやすやすと侵入されてしまうという失態を犯した。31日に墜落した無人機については、韓国軍がバルカン砲を300発撃ったものの、高度が高すぎて撃墜できなかったという。

日本にとっても他人事ではない話だ。北朝鮮は、隣国の韓国のみならず、海を隔てた日本に対しても恫喝を続けており、先月26日には日本海に向かって中距離弾道弾「ノドン」を2発発射した。韓国に対して行うことを、日本にしないという保証はない。対空レーダーで飛行機などは探知できるだろうが、小さな「おもちゃ」が飛んでいても気づかず、そこに爆弾や生物兵器を仕掛けられる可能性もゼロではなかろう。日本も、空に対する警戒を強める必要があるだろう。(居)

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