北朝鮮のミサイル発射が「同時多発」で行われるとの観測があり、警戒態勢が続く。さらに朝鮮労働党の機関紙である労働新聞(10日付)は「わが国に対する敵対政策は日本の滅亡を招く」と題する記事を載せるなど、北朝鮮側は日本に対しても過激な挑発を繰り返している。

同紙は、「北朝鮮に地理的に近い日本は我々の報復対象から逃れることはできない」と、攻撃対象の5都市(東京、大阪、横浜、名古屋、京都)を挙げている。そして、その都市の人口が日本の人口の3分の1を占めることから、「我々が日本の戦争持続力を一気に壊滅させることができる可能性を示している。日本が参戦すれば、我々は日本列島全土を戦場にさせるだろう」と主張している。

ちなみに先月31日にも北朝鮮は、在日米軍基地を擁する神奈川県横須賀市、青森県三沢市、沖縄県を米軍の前哨基地として攻撃対象に挙げている。

この北朝鮮の挑発を受けて日本の各自治体は対応に追われている。ただ、地方自治体ができる対策は、防災のレベルであり、あくまでも「ミサイルが着弾した後に二次被害を防止するもの」にすぎない。防衛は国家が為すべきことであり、日本政府もミサイル防衛の態勢を強化している。

北朝鮮がミサイルを発射した場合、米軍の早期警戒衛星が最初に探知し、データを日本近海に展開する自衛隊のイージス艦などに伝える。そして、イージス艦搭載のレーダーでミサイルを追尾し、日本に落下する場合は、イージス艦から海上配備型迎撃ミサイルSM3を発射し、大気圏外での迎撃を試みる。撃ち落とせなかった場合は、地上に配備した地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)で迎撃する。

現在PAC3は首都圏防衛のために市ヶ谷、朝霞、習志野、横須賀などに配備されている。しかし、PAC3の防御範囲は半径数十キロと小さいため、PAC3が配備されていないところにミサイルの照準が向けられていると、SM3で撃ち落とせなかった場合は、対応できないのだ。

米太平洋軍のロックリア司令官は9日、同盟国が標的になっていれば撃墜する方針を明らかにした。ただ一方で、「アメリカは日本を守る気がない」という見方もある。

昨年4月のミサイル発射時には日本海に2隻、鹿児島県沖に1隻配置されていた米軍のイージス艦は、昨年12月のミサイル発射時には同海域に配備されていなかった。代わりに、イージス艦はグアムなど太平洋に配備されていたとされ、これはハワイへのミサイルを警戒したものだろうという(産経新聞Web版より)。つまり、12月の米軍の迎撃態勢を見る限り、米軍は米領土の防衛に集中していると考えられる。

確かに、日本は日米安全保障条約を締結しているため、アメリカが日本の安全保障を一部担っている側面はあるが、防衛においては「自分の国は自分で守る」というのが当たり前である。これを機に、日本はPAC3の配備システムや、敵地先制攻撃も含めて、自主防衛体制を固める必要がある。(飯)

【参考記事】

2013年4月10日付本欄 北朝鮮のミサイル発射迫る これは戦争行為である

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5872

2013年4月4日付本欄 米がグアムに配備するミサイル防衛システムは日本を守れない

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5846