中国の大気汚染問題が、今年に入ってさらに深刻化している。北京や南京では、汚染度が一時測定不能レベルにまで達し、その他の地域も慢性的な「濃霧」に包まれている。中でも危険視されているのが、極めて微小なため肺の奥深くに入り、肺がんなどを引き起こすPM2.5だ。

汚染に対する市民の怒りは、中国政府にとっても最大の懸念事項の一つとなっている。13年末に、中国共産党系紙の「中国青年報」が行った世論調査では、国内の様々な出来事の中で「全国100都市以上でスモッグが発生したこと」への不満が最も多かった。

こうした状況を受け、中国政府は汚染対策に本腰を入れ始めた。多くの地方政府は、今年の重点政策として「大気汚染対策」を初めて掲げている。工場や発電所から出るばい煙や自動車の排ガスへの規制が行われ、燃料の品質向上が推進される見込みだ。

今まで中国は、公害に目をつむりながら、高い経済成長率を維持してきた。しかし、そうした発展はいつか破綻する。今、中国が目指すべきは、「適正な発展」だ。

中国にとって、「適正な発展」という課題は大気汚染にとどまらない。

代表的なのが、バブル崩壊の危機だ。地方の山間部には、誰も住むあての無いマンションなどが、大量に建設され続けてきた。中国は、国民が豊かになっていないにも関わらず、建築投資などでGDPを水増ししているのだ。これはどこかで破綻し、深刻な経済危機を招く。2014年の世界経済にとって、主要なリスクの一つだ。中国は、一時的な成長率を下げてでも、国民の消費に支えられたまっとうな経済に転換しなければならない。政府もそれに気付き始めている。

経済における「適正な発展」に関して、幸福の科学グループ・大川隆法総裁は著書『仏陀再誕』の中で、「決して、数や量の拡大が正しいことではないのだ。そのなかに住み、そのなかに生きる人たちが喜びを得てこその、繁栄であり発展であるということを、ゆめゆめ忘れてはならない」と説いている。個人であれ経済であれ、この真実を忘れて富だけを求めれば、必ずツケが回ってくる。

もちろん、経済発展し、富を得ることはよいことだ。しかし、それは正当な努力や工夫を経て、人々の幸福に貢献した結果でなければならない。見せかけの発展は破滅への道である。

「適正な発展」によって大きな経済力を持つ国こそ、先進国だ。日本も足尾銅山鉱毒事件や四大公害などを克服しながら発展してきた。中国は今、先進国入りできるかを問われている。大気汚染問題は、そのことを象徴していると言えるだろう。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『携帯版 仏陀再誕』 大川隆法著

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