中国民政部はこのほど、2013年に生じた自然災害の被害をまとめた資料を発表し、その中で「PM2.5」などによる大気汚染を「自然災害」として認定した。これを受けて、インターネット上では「人間が作った自動車や化学工場の排気が自然災害だっていうのか?」「なんて無責任なんだ!恥知らずめ」などと政府批判の書き込みが相次いでいるという。

中国では、有害物質を含んだ濃霧が深刻な問題となっており、新華社通信(電子版)が「8億人余りが呼吸すら困難となった」と論評したほどだ。唐代の史跡である大明宮国家遺跡公園では先月22日、当時の冬至の祭礼を再現したイベントで「有害濃霧の消散」を祈る参列者もいたという。政府が対策を怠る中で、国民は神に祈らざるを得ないほど深刻な事態になっている。

中国政府の論理が通用するなら、日本で起きた「四日市ぜんそく」などの公害病や「光化学スモッグ」も自然災害ということになってしまう。政府の仰天発表にネットユーザーが激怒するのも無理はない。

中国政府が、大気汚染という明かな「人災」を自然災害にしたいのは、既得権益の塊である国有企業に責任を負わせたくないからだ。国有企業の成長を背景とした急速な経済成長で存在理由をアピールしてきた中国共産党にとって、「国有企業は公害を垂れ流している」などと認められるはずもない。

中国共産党は、公害対策による人命尊重より、党の利益を優先した結果、大気汚染が広がり、その被害にも目をつむり続けている。国民を無視し、責任を転嫁する無責任な姿勢からして、もはや中国共産党自体が、「公害」であると言わざるを得ない。「呼吸すら困難な国家」に未来はないだろう。(慧)

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2013年2月5日付本欄 中国の大気汚染が日本にも拡大 政府は賠償を要求せよ

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2013年3月14日付本欄 中国メディアが報じない、PM2.5対策への日本の協力

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5734

2013年5月号記事 PM2.5って何? - そもそモグラのそもそも解説

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