昨年末、日本政府が南スーダンで活動する韓国PKO軍の要請を受け、銃弾を提供した際、「武器輸出三原則」が話題になった。

武器輸出は世界では当然のように行われていることで、アメリカ、フランス、イギリスに加え、あの「永世中立国」のスイスまでもが輸出をしている。韓国もその例に漏れない。

だが、韓国製の武器の性能には疑問符が付いている。韓国軍では兵器の故障が相次ぎ、他国からは契約の破棄通告までされたことが、韓国国内でも報じられている。

例えば、韓国空軍では、2000年以降、操縦ミスや整備不良が原因で、35機もの戦闘機が墜落している。また、韓国の駆逐艦は、2012年12月9日、原因不明の停電に見舞われ、予備電源の発電機と通信用のバッテリーを作動させたが使うことができず、5時間もの間、海に漂流してしまった。海軍の機雷は、2013年1月に行われた実験で不発が続発し、成功率はわずか16%にとどまった。

輸出した兵器についても問題が起こっている。韓国は、2008年にトルコとの間で、試作戦車の購入と技術の移転の契約を結んだ。しかし、開発の遅れにより、納期までに戦車の納入が間に合わず、2011年にはトルコ政府から契約の破棄を宣告された。結局、戦車の開発権利をトルコに譲ることで妥協したが、問題の戦車は未だに生産されていない。

盧武鉉政権時の2006年頃、防衛産業の投資促進を定めた法律が成立し、李明博政権では大統領自身がトップセールスを行って防衛装備品の輸出に力を入れた。その結果、輸出額は、2006年の約2.5億ドルから12年までの6年間で、10倍となる約23.5億ドルにまで拡大し、新たな「武器輸出大国」になろうとしていた。

しかし、肝心の武器の性能がこのような調子では、これ以上の輸出の拡大は難しいだろう。

それならば、不良品を売りつけている韓国に代わって、自走砲や地雷・機雷撤去などで高い技術を持つ日本が積極的に武器を輸出していくべきだ。武器輸出のメリットとしては、友好国と武器の共同開発ができる、共同開発や輸出により、開発費を抑えられる、最先端技術への参加を可能にする、などが挙げられる。その結果、防衛産業や技術者が育つ。

もし防衛産業が衰退して、武器の輸入に依存するようになれば、高い値段での購入を迫られる上に、武器の機密情報が開示されない。情報が十分になければ、武器の故障に繋がり、不測の事態に対応できなくなる恐れがある。

積極的な「武器輸出三原則の緩和」を推し進め、武器輸出を拡大することは、安倍首相が唱える「積極的平和主義」の実現にも資することだ。

そもそも「武器輸出三原則」とは、1967年の佐藤内閣時に、共産圏、国連決議により指定された国、国際紛争国への武器輸出を禁ずる原則のことを指す。ただし、この原則は法制化されているわけではなく、三原則に示された地域以外への輸出は「慎む」とされているだけで禁じられていない。従って、今すぐにでもできる話なのだ。

日本は国際正義を実現するために、「武器輸出三原則」の呪縛を解き、韓国に代わって「武器輸出大国」を目指すべきだ。(慧)

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2013年7月28日付本欄【そもそも解説】武器輸出三原則ってなに?

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2013年12月24日付本欄「武器輸出三原則」の"例外"扱いでいいのか? 自衛隊がPKO参加の韓国軍に銃弾を提供

http://the-liberty.com/article.php?item_id=7139

2012年11月号記事「霊言 維新の思想家・佐久間象山プラン- 防衛力増強に300兆円集める方法」

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