中国に駐在する40カ国以上の外国人記者から成る「駐華外国記者協会」は9日、外国人記者への中国当局による圧力の改善を求める声明を発表した。10日付読売新聞が報じている。

声明によると、温家宝元首相の蓄財について昨年報じた米紙ニューヨーク・タイムズと米ブルームバーグ通信の中国特派員全員が、年末で切れるビザの更新ができていない。中でもニューヨーク・タイムズについては、別の記者2人のビザ申請に対する許可も下りていないという。また、中国の人権報道で知られ、ロイター通信の中国特派員として赴任する予定の米国人記者が、ビザ発給を拒否された。

また、駐華外国記者協会が5月に実施した調査では、中国に滞在する外国人記者の98%が中国の報道環境は国際基準に達しておらず、70%が報道環境は悪化している、または昨年同様であると答えた。

この背景には、中国政府による外国メディアへの圧力が強まったことが挙げられる。例えば、外国人記者がビザを取得できない他に、ニューヨーク・タイムズの中国語・英語のホームページがアクセスできなくなったり、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの北京支局が、駐中国記者のビザと記者証の更新を中国政府が認めなかったために閉鎖され、事実上の国外退去を余儀なくされた。

ビザの取り消しや国外退去をちらつかせることで、「中国の安定」を損なう報道をさせないようにする中国に、「報道の自由」はない。国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」による2013年版「世界の報道自由度ランキング」で、中国が179カ国中173位であることもうなずける。

一方日本では、特定秘密保護法が6日に成立したことを受けて共同通信社が実施した全国緊急電話世論調査によると、同法に「不安を感じる」との回答が70.8%を占めたという。中でも「報道機関の取材が十分にできなくなる(40.4%)」と危惧する意見が最も多いという結果が出た。しかし、この法律では、あざむきや窃取といった方法によらない正当な取材活動は、処罰の対象外だ。

「報道機関の取材が十分にできない」のは、日本国内ではなくむしろ中国国内であることにもっと注目すべきではないだろうか。中国が世界の人々の「知る権利」を侵害していることを見落としてはならない。(飯)

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