三菱重工業を含む企業連合は、トルコ政府から原発建設を受注し、29日に正式に契約を取り交わした。中国や韓国との受注競争に競り勝ち、5月段階で排他的交渉権を獲得していたが、今回正式に合意の運びとなった。福島の原発事故後に日本企業が原発を受注するのは初めて。30日付各紙が報じた。
受注したのは黒海沿岸のシノプに建設する原発4基で、事業費総額は約2兆円になる。
29日夜には、トルコのイスタンブールで安倍首相とトルコのエルドアン首相が会談し、原子力分野で協力促進を確認する共同宣言を発表した。安倍首相が原発輸出を推進する方針を伝えると、エルドアン首相も「トルコには原発が必要だ」と語った。
トルコは地震国であるため、同じ地震国の日本の原発技術に期待しているという。日本の原発は福島事故でも放射能による死者を出していない。
日本がトルコで原発を受注する一方で、英政府は21日、イギリス南西部のヒンクリーポイントに建設する原発への出資に、中国資本を受け入れると発表した。
これに対して英各紙は、中国が国の根幹インフラに関わることへのリスクを懸念する声を紹介している。腐敗防止団体トランス・ペアレンシー・インターナショナルによる新興諸国75社への調査では、中国企業は情報公開性が最も低く、調査対象の33社すべてが贈賄禁止を表明していなかった。また、ハッキング疑惑がときおり持ち出される中国が、安全性が最も重視される設備である原発に関わることの安全保障上の懸念もあるという。
中国国営企業の出資に対し、オズボーン英財務相は、原発建設で雇用が生まれることや、エネルギーコストが長期的に下がるなどのメリットを主張している。
しかし、国防上のリスクを考えると、イギリスとは価値観の異なる中国が根幹インフラに関わることで、かえって高くつく可能性は高い。
日本の原発技術については、イギリスの別地域においては日本企業が受注活動で優位に立ち、リトアニアでは日立製作所が優先交渉権を得ており、チェコでは入札段階で高評価を受けるなど、福島の事故後も信頼が高い。もともとの高い技術力に加え、事故の経験と教訓を生かせばより安全性を高めれば、より優位に交渉を進めることができるはずだ。
イギリスは中国よりも日本を選ぶべきだし、日本も技術の高さを世界にアピールし、協力体制を築くべきだ。(居)
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