債務危機が懸念されているスペインで、3時間のランチタイムと昼寝の「シエスタ」の習慣がなくなるかもしれない。だらだらと長時間働く状況を改善して、生産性を向上させようと、スペインの議会委員会が、午前9時から午後5時までを標準的な労働時間と定めると提案した。25日付CNN(オンライン版)などが報じた。

シエスタの習慣は、午後2時~5時ぐらいまでにとる長い昼休み。帰宅して食事を取り、休憩や昼寝などで気分転換する。しかし、基本的な労働時間の長さは他国と変わらないため、その分、終業時刻が遅くなる。スペインの人々の多くは、午後9時前に帰宅することなど考えていないという。

ちなみに、この習慣は1940年頃、仕事を掛け持ちしなければならない人が多い時代にできたものだ。

しかし、この習慣は他国とやり取りする企業にとっては経済活動の妨げになっており、多くの地域でスーパーや個人商店、公共施設などが一斉に閉まるため、観光客にとって非常に不便な状況を生み出している。ただ近年では、職場と自宅を往復することが困難な人も増えており、この習慣をやめている人々も多いという。

スペインは2012年に、ユーロ圏諸国から1000億ユーロ(約13.4兆円)を上限とする銀行支援プログラムを受けるほど、経済状態が悪く、同年の失業率は26%、16~24歳の若年層に限ると、実に57%にまで高まっている。

欧州危機の救い手として最も多く資金を出しているドイツの就業時間は、周囲の国に比べて短いが、それはドイツの生産性が高いからだ。スペインも「自助努力の精神」に立ち返り、生産性を高め、他国にやっかいになる状況から早く抜け出すべきだろう。(居)

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