政府は先般、海洋開発や海上輸送などの政策を定め、5年ごとに策定される「海洋基本計画」を閣議決定した。今回は、昨今、次々と発見されている日本領海内の海洋資源の開発スケジュールと、安全保障面の強化が特徴だ。

今回の計画では、まず、海底資源の開発のため、2013年度から3年間で日本近海のメタンハイドレートの埋蔵量を調査し、2018年度には商業化を目指した開発を始める。

メタンハイドレートは、天然ガスの成分であるメタンガスが水分子に閉じ込められて固まったもの。最近では愛知県沖で3月、初の海中試掘実験が行われ、日本海側にも良質な形で存在することが分かっている。日本が今消費している天然ガスに換算して、少なく見積もっても100年分は日本近海に存在するという。

次に、計画では、2013年度から3年間で日本近海のレアアースの埋蔵量を調査する。

レアアースは最新機器に欠かせない材料であり、"産業のビタミン"とも呼ばれる。南鳥島沖にはレアアースであるディスプロシウムが発見されており、その埋蔵量は国内消費量の230年分とも言われる。

さらに、今回の計画で特徴的なのは、「安全保障上重要な離島の警戒・監視体制を強化」「法の支配に基づいた国際海洋秩序の確立」「排他的経済水域(EEZ)の日本の権益の強化」など、海洋資源確保のための防衛体制強化を非常に重視していることだ。

同計画に基づき、これから3年間、海洋資源の集中的な調査が行われる。日本は今、豊富な海洋資源の開発に向けてようやくスタートラインに立ったと言える。

だが、日本の海に大量の資源があることが明らかになるということは、人口13億人を抱える中国にとっては、奪ってでも取りたいものが増えるということでもある。実際、中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、尖閣周辺に豊富な海底油田があると分かってからだった。

その中国について安倍晋三首相は26日、「この2年で日中の軍事バランスが完全に壊れる」と発言した。また、中国の軍事費は公称の2倍はあると見ているという。日本は軍事大国中国にどうやって対抗するのか。海洋開発と共に、国防力の強化が緊急の課題だ。(居)

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