格安航空会社(LCC、ロー・コスト・キャリア)のジェットスター・ジャパンが3日、首都圏の空港に国内のLCCとして初めて就航した。

成田―札幌間(片道)の最低運賃は4490円、成田―福岡間は5090円、成田―那覇間は6590円とその名の通り格安だ(4日付読売新聞参考)。しかし、そもそもなぜ今までの航空運賃は高かったのか。その理由の一つが、国際航空運送協会(IATA)の存在である。

長年、IATAとここに加盟する航空会社、各国政府の間で決められた料金体系が維持され、各社は競争せずに安定した収入を得られる一方、利用者は割高な運賃を支払わされてきた。だが、ジャンボジェット機の登場によって、座席数の供給過多が起こり始めると、多くの大手航空会社はIATAの取り決めを大きく逸脱しない範囲で自主的に割引運賃を導入。座席を埋めようと動いた。この流れが、航空会社同士の価格競争へとつながっていった。

LCCが格安なのは、ひとえに徹底したコストの削減がある。

今年3月から関西国際空港で運航を始めたピーチ航空の場合、機体を小型の航空機で統一し、標準乗員150人のところ、座席を詰めて180人乗りにして乗客を目一杯乗せる。また、路線をアジアの都市と日本の2都市間に固定し、空港着陸料が安い路線に参入。機内サービスは有料とし、チケットもインターネット経由の直販にして代理店コストをカット。パイロットも大量リストラを行ったJALから多くのベテランを採用した。

LCCの参入は利用者にとって喜ばしいが、アメリカやヨーロッパでは全席自由という路線もあるといい、まさにバス感覚で飛行機を利用している。それに比べると、日本の「空の交通革命」はまだ緒に就いたばかりと言えよう。

日本全国には100近い空港があり、利用率の低さから「ムダ」という批判の声もある。だが、今後のLCCの広がりとともに、小型機を数十分ごとに頻繁に飛ばしたり、空港やその周辺店舗を24時間化したり、空港と街の中心部とのアクセスの改善など、新しい発想で空の交通革命を進めて行けば、日本全国、どの地域にも発展の余地はまだまだある。(悠)

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2008年4月号記事 法律や規制が阻む「空の交通革命」の到来 (「日本株離れ」を防げ 記事内P4)

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=516

2012年2月26日付本欄 「空飛ぶ電車」は交通革命を起こすか 日本初のLCC「ピーチ」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3885