「幸福実現党、政策はいいがバックが……」 どう考えるべき?

「幸福実現党、政策はいいがバックが……」 どう考えるべき?

 

《本記事のポイント》

  • 「政教分離違反ではない」が政府の公式見解
  •  ドイツ与党のキリスト教政党に、無宗教の20%が投票
  •  イメージは「修道会の社会貢献活動」

 

「日本に『保守政党』はない」

 

ジャーナリストの田原総一郎氏は、13日付日経ビジネスオンラインでこうぼやく。

 

各党は「自民=保守」「希望=改革保守」「立憲=リベラル」と自称するが、最も右側の自民党でさえ「憲法9条改正」を事実上放棄し、経済政策でも「教育無償化」というリベラル色の強い政策を打ち出している。

 

この状況を、田原氏は「自民党のみならず、他の政党はいずれもリベラルで、いってみれば自民党の左側に、よりリベラルな政党が連なっている」と評する。

 

そんな中、極めてストレートな「保守」政策を掲げる政党が注目を集めている。幸福実現党だ。未だ国会議員は輩出していないが、全国に17人の地方議員を持つ。今回の衆院選でも、全国に76人の立候補者を擁立する。

 

「防衛費倍増」「憲法9条を改正し、防衛軍を組織」「消費増税は中止し、5%に減税」といった政策に、インターネット上では「自民党も真っ青な保守」「政策は、一番まともで、ぶれない」といった声が見られる。

 

しかし、その声の多くには「留保」がつく。「ただ、バックが宗教だから……」というものだ。

 

幸福実現党の支持母体は、「幸福の科学」。そのことを懸念する心理は、戦後日本においては"自然"な感情かもしれない。「バックが宗教」である事実を、有権者としてはどのように捉えればいいのだろうか。

 

 

(1) 「政教分離」違反ではない

まず、懸念の声として筆頭に挙がるのは、「政教分離に反しているのではないか」というものだ。

 

ところが、幸福実現党の地方議員や立候補者が、役所に立候補手続きに行った際に、「政教分離により受け付けられません」と拒否されたことはない。訴訟を起こされたこともない。よく考えれば、もし拒否されれば「結社の自由」の侵害となり、それこそ憲法違反となってしまう。

 

幸福実現党以外にも、全国には、僧侶や神職を務めながら、町長、市長、国会議員を兼ねる政治家も数多い。

 

では、私たちが学校で習った「政教分離」とは、何だったのだろうか。

 

1990年に、内閣法制局長官が、政府の公式見解をこう述べている。

 

「憲法の政教分離の原則とは、信教の自由の保障を実質的なものとするため、国およびその機関が国権行使の場面において宗教に介入し、または関与することを排除する趣旨である。それを超えて、宗教団体が政治的活動をすることをも排除している趣旨ではない

 

つまり、アウトになるのは、例えば神社関係者の支持を多く受けている自民党政権が、キリスト教の布教を制限したりするケースだ。

 

「政教分離」が定められた背景には、戦前の政府が仏教、キリスト教、天理教や大本教などの新興宗教を弾圧したことへの反省がある。宗教の「結社の自由」を禁じれば、それこそ「信教の自由」を侵してしまう。

 

ちなみに、幸福実現党は「信教の自由」を重視している。同党は独自の憲法案を発表しているが、そこでも「信教の自由」は強調されている。大川隆法・幸福の科学総裁はそれについて、こう述べている。

 

宗教に関しては、『「信教の自由」の下、自由マーケット、自由市場のなかで、フェアに競争しましょう』ということを、あえて述べているわけです(『国を守る宗教の力』所収)

 

「信仰は心の中のものであり、権力に強制されるものではない」というスタンスだ。仮に公明党が、国権を濫用して他宗を弾圧したり、思想統制を始めたりしても、「信教の自由」が歯止めになる。

 

 

(2) 政党支持はあくまで政策への支持

「憲法上の問題はどうあれ、幸福実現党への支持は、特定の宗教団体を支援するようで抵抗がある」という感情もあるかもしれない。

 

ただそこは、「あくまで政策・主張への賛同」と割り切ってよさそうだ。

 

現在ドイツの与党である「ドイツキリスト教民主同盟(CDU)」は文字通り宗教政党だ。しかし、例えば1998年の選挙では、国民の無宗教者の20%近くが、CDUに投票している。

 

そもそも、政治における政党の役割として「利益表出機能」「利益集約機能」が言われる。簡単に言えば、「国民の中にこんな意見がある」ということを社会に明示し、政策として集約する機能だ。

 

有権者も政党について、「自分はこう思っている」という意見表明をする"道具"くらいに割り切って考えていいだろう。むしろ、意見表明しないことの方が、政治にとってはマイナスだ。

 

大川総裁も、「『当会が母体である幸福実現党の出している政策に共鳴し、応援してくださる方であれば、当会の信仰や教義を受け入れていなくても、政党のほうでは一緒にやっていける』というスタンスを持っています」(『政治に勇気を』所収)と語っている。

 

 

(3) 売名活動ではなくミッション活動

「いくら『政策への支持と、母体の宗教への支持が別だ』といっても、政治進出自体が、宗教の売名行為や利権獲得のためではないか」という懸念もあるかもしれない。

 

しかしそうであれば、当選者がなかなか出ない中、8年間も活動を継続する理由がない。第一、知名度の向上・勢力拡大を狙うのなら、もう少し"効率的"で"耳障りのいい"政策を掲げるはずだ。例えば、某政党のように、給付金や商品券のバラマキなど……。

 

それでも幸福実現党が政治活動を行う動機については、「修道会が社会貢献活動を行う」ことをイメージすればいいだろう。

 

例えばカトリック修道会の一員だったマザー・テレサは、ローマ教皇の認可を得て「神の愛の宣教者会」という女子修道会を設立した。貧困という社会問題に取り組み、医療行為、社会啓蒙活動を行った。これは、「貧しい者のために働く」というキリスト教の徳目を、実践するためのものだ。

 

この徳目の背景には、キリスト教的な世界観・人間観がある。ただ修道会は、その教義まで受け入れなくても「貧しい者を助けるべきだ」というレベルで共感する人には協力を募りながら、活動を行っている。

 

幸福実現党も同じだ。同党が、「小さな政府」の実現や減税政策、人権弾圧国家からの「国防強化」といった政策を訴えているのは、「人の人生にとって、自由はとても重要」という信条を強く持っているからだ。

 

この「自由の哲学」の裏にはスピリチュアルな世界観・人間観や幸福の科学の教えがある。ただ政治活動においては、「自由の尊重」といったレベルで共感できる人たちと協力し、社会変革を行おうとしているわけだ。

 

いずれにせよ、その政治活動は、純粋に「世の中のためになる」と思ってのことだ。

 

訴える政策が他党と似通っていても、背景には「宗教的なミッション性」があるため、「信条を曲げる」ことができない。"幸か不幸か"、政党運営をする中で、「選挙に不利かもしれないけれど、これは言わないといけない」という判断が、何度も行われているという。

 

つまり、幸福実現党が「政策はぶれないけど、バックが……」ではなく、「政策がぶれないのは、バックのせい」という言い方の方が正確だろう。

(馬場光太郎)

 

【保守政党・公約比較】希望は候補が「民進党」、自民は政策が「民進党」

 

 

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タグ: 幸福実現党  政教分離  憲法9条  支持母体  国防強化  

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