《本記事のポイント》
- 「消費減税」を訴える幸福実現党が報じられず、国民に選択肢が示されていない
- 税金で選挙をする党はメディアに出て、自腹で選挙をする党は出られないおかしさ
- 情報が伝わらなければ、民主主義は正しく機能しない
衆院選が10日、公示され、11日付各紙は一斉に、各政党の主要政策や党首の演説内容などを伝えた。
「自民・公明」「希望・日本維新の会」「共産・立憲民主・社民」の三つ巴の戦いだと報じているところがほとんどだ。ここで、各紙一面を見比べてみたい。
- 読売新聞は、「衆院選 3勢力対決」という見出しで、自民、公明、希望、日本維新、共産、立憲民主の6党首の写真を掲載。北朝鮮問題や消費増税分の使い道など、各党首の街頭演説を紹介している。
- 朝日新聞は、「安倍首相の信任 焦点」という見出しで、6党首と社民、日本のこころの8党首の写真とともに、憲法9条の改正など、各党首の主張も掲載した。
- 毎日新聞は、「消費税・改憲 争点」という見出しで、8党首の写真と演説の時間配分を掲載。北朝鮮と消費増税を中心に、紹介した。
- 日本経済新聞は、「安倍政権5年に審判」という見出しで、同じく6党首の写真を掲載し、安倍政権の続投などについて、各党首の街頭演説を紹介している。
- 産経新聞は、「北有事・改憲 3極論戦」という見出しで、6党首と社民党党首の写真を掲載。自民党の勝敗ラインなどを中心に紹介した。
国民に政党の選択肢が示されていない
これら8つの党は、「消費増税」または「消費増税の凍結」、「消費増税の中止」という政策を示している。しかし、唯一、「消費減税」を訴え、全国に候補者を立てている政党がある。幸福実現党だ。
幸福実現党について多少なりとも触れたのは、産経新聞のみ。他紙では諸派扱いで、新聞を読んでいるだけでは、「減税」を訴えている政党があることすら分からない。これは、国民に「消費減税」という選択肢が示されていないことを意味する。
幸福実現党は、小選挙区で35人、比例で41人を擁立し、候補者数では立憲民主党に匹敵する。客観的に見ても、諸派と一括りにできない規模だ。
税金で選挙をしている政党がタダで宣伝できる
同党が報じられない理由の一つは、政党要件を満たしていないということがあるだろう。
しかし、希望の党や大阪維新の会は、政党要件を満たす前から報じられていた。
ところで考えてみれば、政党助成法上の政党要件が満たされると、政党交付金が与えられる。つまり、税金で選挙活動を行えるようになる。かつ、テレビや新聞でも連日報じられる。一方、政党要件を満たさず、政党交付金を受け取っていない政党は、自己資金で選挙を戦いながら、メディアにもほとんど取り上げられない。
税金で選挙をする政党はタダで宣伝でき、自腹で選挙をする政党はできない。これほど新規参入を阻む分野も珍しいだろう。選挙が本当に民意を反映するためのものなのか、分からなくなってくる。
民主主義が正しく機能していない
憲法に規定されている政教分離も、メディアが幸福実現党を報じない理由の一つだろう。だが、宗教法人である創価学会が支持団体となっている公明党は、連日報じられている。
民主主義のよい点は、さまざまな思想信条を持つ人が、意見を自由に言うことができ、少数意見であっても尊重する精神があることだ。しかし、現在の日本では、メディアによって選別された意見しか国民に知らされない。情報がフェアに伝わらなければ、民主主義も正しく機能しない。
国民には選挙の選択肢を知る権利があり、メディアの側にも、その情報を知らせる義務があるはずだ。
(山本泉)
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