日本の首相は安倍晋三だが、“元首”はトランプである―編集長コラム

日本の首相は安倍晋三だが、“元首”はトランプである―編集長コラム

 

編集長コラム 衆院選直前・特別版(3)

 

 

日本のどこにも見当たらない「万全」

安倍晋三首相が国防を選挙の争点に掲げた。今までなかったことなので、大きな“進化"ではある。

 

ただ、72年ぶりに"空襲警報"が常態化する中、「北朝鮮への圧力強化継続」「憲法9条への自衛隊明記」を問うだけでいいのだろうか。

 

安倍首相はミサイルが飛ぶたびに「万全の措置をとっている」と繰り返すが、迎撃ミサイルの「PAC3」は首都圏などごく一部の地域しか配備されていない。イージス艦によるミサイル防衛システムも、北朝鮮が複数のミサイルを同時に撃つだけで「万全」の対処は難しくなり、大混乱に陥る。

 

韓国のソウル市内には人口約1千万人の3倍を収容する核シェルターが設置されているが、日本では一部民間にあるだけで、全人口の0.02%分しかない。

 

「万全の措置」は、日本のどこにも見当たらない。

 

現実は、安倍首相が「国際社会が連携して対応する」と言っているように、要はアメリカの軍事力頼みだ。

 

 

日本もグアムと同様、米大統領が元首なのか?

北朝鮮のミサイル問題で奇しくも明らかになったのは、日本の置かれた立場は、アメリカの準州であるグアムと変わらないということだ。

 

この夏、グアムは北朝鮮から「ミサイルで狙う」と脅されたわけだが、観光シーズンということもあって、知事らは「グアムは安全で、米軍がほぼ100%の確率で迎撃できる」と「万全」をアピールしていた。

 

グアムは1898年、アメリカが米西戦争でスペインを破った際、アメリカ領となった。先の大戦で日本が一時占領したが、米軍が奪還。戦後はアメリカの準州として自治が認められ、米軍の軍事拠点としてその重要性が年々高まっている。

 

知事は公選で選ばれ、立法府も裁判所もあるが、住民には大統領選挙の投票権がない。連邦議会に議員を送る権利もない。

 

「何かあったらアメリカ大統領が守ってくれる」のはグアムも日本も同じ。多くの国で国防の最高責任者が国家元首であることを考えれば、日本の元首はアメリカ大統領なのかもしれない。

 

 

「国民を守らない」と堂々と宣言する日本国憲法

国家には「主権」がある。ひと言で言えば、「国内のことは他国に干渉されずに政治として意思決定できる権利」ということ。他国からの干渉の最大のものは軍事侵攻なので、領土と国民の生命・財産・安全を守るための「交戦権」は、主権の中で最も大事な権利だ。

 

憲法9条は、「国の交戦権は、これを認めない」「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とうたっている。つまり、日本国政府として、「国民の生命を守りません」と堂々と宣言している。

 

アメリカが軍政を敷いて日本を防衛していた占領時代が今も続いており、それがグアムと同じ境遇をつくり出しているわけだ。

 

こうして見ると、安倍首相の言う「北朝鮮への圧力強化継続」は、「アメリカにがんばってもらう」ということでしかない。

 

「憲法への自衛隊明記」も、9条の交戦権の否定と戦力不保持を維持したままなので、「日本もグアムと一緒に守ってください」ということでしかない。

 

安倍首相としては、「憲法9条改正を正面から訴えても、マスコミから総攻撃され、選挙に勝てないからやむを得ない」ということなのだろう。

 

日本国民のため、最も必要なことを訴えない政治家というのは、ただ「勇気がない」と言うしかない。

 

 

トランプ大統領が中国、北朝鮮に「負ける」可能性

では、その頼みのアメリカが確実に日本を守ってくれるのだろうか。

 

今、アメリカ政界では、「北朝鮮の核保有を受け入れなくてはならない」(クラッパー元国家情報長官)という意見がじわじわと広がっている。北朝鮮が「核兵器を使わない」と約束するなら、核武装国として認めるというスタンスだ。

 

トランプ大統領がこの議論に同調する気配は今のところないが、最後の最後で金正恩・朝鮮労働党委員長との根比べに負けてしまう可能性は残されている。

 

大川隆法総裁は法話「自らを人財に育てるには」で、今後の見通しをこう語った。

 

次に来るのは何かということですが、(日米などが)妥協的態度で、(北朝鮮が)雑草を食ってでも核の開発を続けたら、(金正恩氏が)次に言うことはどういうことかという考えを読めば、『日本から米軍基地を撤去しなければ、日本に核ミサイルを撃ち込むぞ』ということを次に言ってくることができるわけです

 

米軍基地を撤去した後、日本は丸裸状態になるということにほぼ近いと思います」「四つの島を沈める方針でやられたら、もう何も反抗はできない状態になっています

 

金正恩が核・ミサイル開発を突き進む目的は、単に自国の体制維持だけではなく、在日米軍の動きを封じながら、韓国に南侵し、併合することにある。

 

トランプ氏が決断できなかった場合、その後は、アメリカが超大国としてアジアに責任を負わなくなり、中国がアジアの新しい覇権国として君臨する。

 

中国が南シナ海や東シナ海で何をやろうと、止める力はもうない。

 

日本は常時、金正恩の「核の脅し」にさらされる。さらに巨大な核戦力を持つ中国にも脅され続ける。

 

「他国の干渉を排除する主権」は限りなくゼロに近づく。

 

結局、安倍首相の憲法9条改正案では、日本の国家元首が米大統領から、金正恩氏や中国の習近平国家主席に代わり、日本国民が彼らの「奴隷」になる未来を呼び込むことになる。

 

中国と北朝鮮による恐怖支配は、アジア全体に広がるだろう。(次回へ続く)

(綾織次郎)

 

【編集長コラム 衆院選直前・特別版】

2017年10月2日付本欄 やっぱり「緑のたぬき」? 小池百合子という政治家の本質

http://the-liberty.com/article.php?item_id=13592

 

2017年10月3日付本欄 北朝鮮より低成長、スウェーデンより高福祉な国がある。それは―

http://the-liberty.com/article.php?item_id=13595

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