2008年以降、少なくとも30組以上の日本人不妊夫婦がインドやタイの女性に代理出産を依頼し、10人以上の赤ちゃんが誕生していることがわかった。19日付け朝日新聞が伝えている。

代理出産は通称「借り腹」とも。妻が妊娠や出産できない(しにくい)体の場合、夫の精子と妻(または第三者)の卵子を体外受精させ、その受精卵を別の女性(代理母)の子宮に移して産んでもらう。日本では代理出産を規制する法律はないが、日本産婦人科学会が指針で禁止している。しかし海外でのあっせんに関する規定はない。

これまで日本人が代理出産を依頼するのは米国が中心だったが、アジアで安く代理出産できることが知られたため、あっせん業者を通じてインドやタイに申し込む日本人が増えている。費用は500万円程度と米国の3分の1。うち代理母が受け取る報酬は60万円程度で、これはインドの場合、貧しい人の年収の5~10年分にあたるという。

お金で他人の体を借りて出産してもらうことが倫理的に許されるかという問題の一方、流産を繰り返して子供に恵まれない夫婦にとっては救いの道ではある。2007年の厚生労働省の意識調査では容認派が54%と過半数で、「認められない」は16%だった。この問題は宗教的テーマでもあり、カトリック教会は「神の領域に手を出すべきではない」と否定的。キリスト教国の米国でも州によっては禁じられている。

弊誌は現段階では「代理出産で生まれた子供や親がその後の人生で幸福になるかどうか、まだ十分に検証されていないため、性急に是非を言うのは難しい」との立場に立っている。ただ、人の命は精子と卵子のDNAだけでつくられるものではない。親と縁のある魂が霊界で待機していて、ある段階まで成長した胎児の肉体に宿って生まれてくるというのが人間の生命誕生の真実であり、そこに人工的操作が加わったとしても、妊娠や出産が魂にかかわる神秘的な営みであることに変わりはない。こうした霊的知識が広まれば、少なくとも代理出産に対する無用な偏見や罪悪感は減るはずだ。(司)

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