トランプ大統領がイスラエル首相と会談 核戦争を避けるため求められるもの

 

《本記事のポイント》

  • トランプ米大統領がイスラエル首相と会談し、イランに圧力をかけることで一致。
  • 融和的なイラン核合意では核開発を止められない。
  • イランの核開発の動機は挑発的なイスラエルの存在にある。

 

ドナルド・トランプ米大統領は、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談を15日、行いました。

 

共同記者会見でトランプ氏は、パレスチナ問題について「たとえ1国家でも、当事者同士が満足であればかまわない」と述べ、大きく報じられています。アメリカの歴代政権は、パレスチナが「自治政府」から「独立国家」となり、パレスチナ・イスラエル両国が「2国家共存」することが和平につながるとして、2国間の仲介に努めてきました。トランプ氏の発言は、この「2国家共存」の原則にはこだわらないとするものであり、イスラエルとパレスチナ自治区との直接交渉を促す形です。

 

また、トランプ氏とネタニヤフ首相は、2月の初めより米イラン間で攻防を重ねていたイランの核問題に関しても、イランへの圧力強化に向け、連携していく考えで一致しました。両首脳は、イランがアメリカを含む6カ国との間で締結した2015年の核合意に反対しています。

 

この「核合意」とはどのようなものなのでしょうか。いったいどのような背景で結ばれたものなのか、また、なぜ両首脳が合意の破棄を訴えているのかを確認したいと思います。

 

 

イラン核合意が結ばれた背景

2015年の7月にオバマ政権下において、イラン政府は国連安全保障理事会の常任理事国(米英仏露中)にドイツを加えた6カ国と核合意を締結しました。イランの核問題の解決を目指して、2013年より協議を続けていましたが、2015年に最終合意に至りました。

 

合意内容として以下のようなものが挙げられます。

  • 今後10年に渡って、ウラン濃縮のために保有する遠心分離機を、約1万9千基から3分の1に削減し、稼働数も約1万基からその半分に制限。
  • 製造する濃縮ウランは、原子力発電用の濃縮度の低いもののみとする。
  • 国際原子力機関(IAEA)が、イラン国内のすべての核施設を予告なく査察できるものとする。

 

この見返りとして、それまで安保理がイランに科していた経済制裁は解除され、さらに欧州連合(EU)やアメリカによる原油の輸入禁止などの経済制裁も、全て解除されることとなりました。

 

当時、オバマ大統領は、戦争以外でイランの核開発を止める唯一の方法として本合意を推し進めましたが、融和的な手段が逆にイランの核開発を助長するという批判もアメリカ内外から出ました。

 

 

「核合意破棄」を主張する米イスラエル

トランプ氏が核合意を破棄すると主張してきた理由も、ここにあります。実際、1994年にアメリカは北朝鮮と、核開発を10年間制限する合意を結びましたが、合意後も北朝鮮は核開発を止めることはなく、現在に至ります。北朝鮮と同様に、合意後も核実験を繰り返すイランに対し、融和的な合意を破棄し、イランへの圧力を強めるというのが、トランプ氏の考えです。

 

トランプ氏の方針に賛同を示すのが、イスラエルのネタニヤフ首相です。同氏は、合意が締結された際にも、「イランの核保有に道を開く歴史的に悪い合意だ」と批判してきました。トランプ氏も、ネタニヤフ氏も、核合意ではイランの核実験を止めることはできないと考えています。

 

 

国際法をも無視するイスラエル

ここで、核開発を続けるイラン側の視点に立ってみたいと思います。そもそも、イランが核を持ちたいと思うのはなぜでしょうか。その最大の理由が、イスラエルの存在です。中東で唯一核兵器を保有し、アメリカに次ぐ世界2位の軍事大国と言われるイスラエルが、中東のイスラム諸国へ与えるプレッシャーは甚大です。核兵器で脅せば、イスラエル一国で中東諸国を全て制圧できるという現状に対し、自国も核兵器を持つことで対抗したいというのは、安全保障の面からみて理解できるものです。

 

さらに、イスラエル政府はこのほど、パレスチナ自治区での入植地拡大、および土地の占領を合法化する法案を可決しました。しかし、この入植地拡大に関しては、2016年末に国連安全保障理事会で入植地の建設停止を求める決議案が採択されています。国際法で不法占拠とされているにも関わらず、入植活動を公然と後押しするイスラエルに、国際社会から批判が集まっています。

 

今回の米イスラエル首脳会談でも、トランプ氏は入植拡大について「少し自制してほしい」とイスラエルを諌めています。また、トランプ氏は親イスラエルの立場をとっていますが、和平合意には双方の「妥協」が必要だとしています。もし、イスラエルが本当に中東の和平を望んでいるのであれば、このような挑発的な行為はやめるべきです。

 

イスラエルは自国のみが中東の和平を担える「民主国家」だとしていますが、パレスチナ人を「自治区」に隔離し、その自治区の土地すら奪っていくような国家は、到底、民主国家とは言えません。自国の権益のみを主張し、国際法をも無視するイスラエルには、「自制」と「妥協」が求められるでしょう。イスラエルが自国の領土拡大を正当化するあまり、核戦争に発展するようなことは、断じて避けねばなりません。中東情勢が改善されることを祈るのみです。

(片岡眞有子)

 

【関連記事】

2015年8月10日付本欄 イラン核協議 「外交か戦争か」オバマ氏が米議会に二者択一を突きつける

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10017

 

2015年7月15日付本欄 イラン核協議、最終合意 中東和平のヒントは日本にある?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9898

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