イランの核開発問題の解決を目指し、協議を続けてきた欧米6カ国とイランが14日、最終合意に達した。

イランのウラン濃縮活動などを、国際原子力機関(IAEA)による厳しい監視下で制限し、その交換条件として国連安保理などによるイランへの制裁を段階的に解除することで一致した。

核開発は遅らせられても止められない

オバマ米大統領は同日、制裁解除によるイランの勢力拡大を懸念するイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を行い、「イランの核武装という不安を取り去ることになる」と理解を求めた。

一方、米議会からは、イランの核開発を遅らせることはできても、核開発を進める能力自体は残っていると懸念する声も上がっている。共和党のジョン・ベイナー下院議長は、今回の合意は大幅な譲歩であり、イランをつけあがらせると警告した。

もっとも、その制限さえ実効性を持つかどうか疑問だ。悪しき前例がある。北朝鮮は1994年、米国と核開発を制限する合意をした。しかし北朝鮮は密かに核開発を推進し、合意は無意味となった。イランにも核開発の強い動機がある限り、IAEAの監視下であっても、内密に開発を進める可能性はある。

根本問題は解決していない

根本問題である紛争の火種は残っている。

イスラエルは欧米キリスト教圏による軍事兵器の供与などの援助を受け、中東で唯一の核保有国であり、軍事大国だ。この脅威から自国を守ろうとしているイランは、抑止力を持とうと核武装を目指している。

その背景には、ユダヤ教のユダヤ人によって建国されたイスラエルと、イスラム教のイランの間に横たわる、根深い宗教対立がある。

中東の宗教対立の解消には寛容な価値観が必要

和平は簡単ではない。しかし将来的に紛争の種を消すとすれば、ユダヤ教とキリスト教・イスラム教の違いや、恨み心を乗り越える必要がある。

この世界的な課題に対して、日本は大きく貢献できるはずだ。

幸い日本は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のいずれにも属さず、中東諸国との明確な対立関係もない。さらに日本は古くから仏教や西洋文化などを自国の文化にうまく融合させてきた歴史がある。日本には、異文化や他宗教の長所を認め、受け入れる寛容さがある。

素晴らしい日本の歴史の中に、宗教対立を解決するヒントが隠されている。(真)

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2015年4月3日付本欄 イランの核開発ってどうなっているの? 【リバ犬×そもそモグラ博士のそもそも解説】

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