中国船と対峙する日本の海上保安庁は、常に緊張状態に置かれている。

中国の公船が3日に2日のペースで、沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の接続水域を航行していると、8日付産経新聞が報じた。

日本政府が尖閣諸島を国有化した2012年9月から昨年12月までに、同諸島周辺の接続水域で中国公船を確認した日は1000日を超えた。ほぼ3日に2日のペースで、天気の悪い日以外は訪れているという。

同紙は、「中国側は接続水域や領海への侵入を繰り返し、その頻度や隻数を徐々に増加して既成事実化。尖閣諸島を実効支配しているように見せかけ、国際社会に領有権を主張する狙いがあるとみられている」と指摘する。

海上民兵9000人が尖閣周辺に押しかけていた可能性

尖閣諸島は、「沖縄県石垣市登野城(とのしろ)」という住所を持つ立派な日本の領土。離島のため、多くの日本人はどれだけ危険なのか実感を持ちにくいはず。以下のような具体例を紹介すると、身近に危険を感じられるかもしれない。

昨年8月、尖閣諸島周辺の接続水域に、中国の公船15隻に加え、200から300隻にのぼる漁船が押し寄せる事件があった。

この時本誌の取材に、ある自衛隊の元幹部はこう指摘した。「中国漁船は1隻に30人以上乗れる大きなものもある。200から300隻であれば、軍隊で言えば1個師団に相当する」。

もちろん「漁船」と言っても、そこに乗っているのは元軍人のような訓練を受けている「海上民兵(かいじょうみんぺい)」。もし、300隻に30人が乗っていたとすれば、単純計算で9000人の民兵が尖閣周辺に押しかけていたことになる。

基地がある危険性より、なくなった後の危険性を考えるべき

さらに身近に感じるために、距離の視点から考えてみたい。

中国船が訪れている接続水域とは、領土(厳密には「領海の基線」)から約24海里、約44キロの海域を指す。三大都市を基点に考えると、東京から神奈川県の鎌倉辺り、名古屋から三重県の鈴鹿辺り、大阪から滋賀県の大津辺りの距離になる。

つまり、日本の危機的状況をざっくり表現すると、「多い時で9000人に及ぶ中国民兵が、東京を占領しようと、3日に2日のペースで、約44キロ離れた鎌倉付近に出入りを繰り返している」となる。

こうした状況でも、「沖縄の米軍基地を追い出すべきだ!」と主張する人々がいる。   だが今は、基地があることの危険性よりも、基地がなくなった後に訪れる危険性にこそ目を向けなければいけない。

(山下格史)

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