ロシアのプーチン大統領が15日に来日するのに合わせ、調整していた秋田犬の贈呈が、ロシア側の意向により、見送りとなった。

プーチン氏は愛犬家として知られ、2012年には日本からメスの秋田犬が贈られている。プーチン氏は「ゆめ」と命名し、2014年にソチで安倍晋三首相と会談した際には「ゆめ」も首相を出迎えるなどして両国の友好関係を演出した。

萩生田光一官房副長官は、「残念ながら昨日ロシア政府から連絡があり、『婿入り』はかなわなかった」と自身のメールマガジンで説明した(9日付時事ドットコム)。

ご機嫌取りをしてもダメ

今回のことは、日本政府とロシア政府の外交に対する「姿勢の違い」を示唆している。

大川隆法・幸福の科学総裁は、7日に行われた千葉・幕張メッセでの大講演会「真理への道」の中で、日本側が秋田犬の贈呈を打診していることについて、以下のように触れていた。

『秋田犬をプーチンさんに送るかどうか』、そんな相談をしています。(中略)相手はそんなもので心を動かすような人じゃないんですよ。(中略)もっと大きな、思想や哲学でもって自分の国を変え、世界を変えていこうとしている人たちの前で、姑息なご機嫌取りをしても、意味はないんです。本気で、ズバッと、日本の立場を、考え方を主張しなければ、いけないんです

2014年のウクライナ危機で、クリミア半島を併合したロシアに対し、欧米は一斉に非難し、経済制裁を課し、日本も歩調を合わせた。このときからロシア経済は急激に悪化している。しかし、クリミアにはロシア系住民が多く住んでいるため、実際には、侵略ではなく、邦人保護という意味合いが強かった。

プーチン氏が訪問する山口県の食事や温泉は素晴らしいし、秋田犬もかわいいが、そうした表面上の友好を演出しようとしても、ウクライナ問題で敵対姿勢をとった日本が、本当に友好を深めるつもりなのか、ロシア側が確信を持てるはずがないだろう。

アメリカの大統領選でドナルド・トランプ氏が当選してから、プーチン氏は電話で会談し、オバマ政権で決裂していた米露関係は修復される見通しだ。両国は新しい「世界的正義」の実現に向けて外交を展開していくだろう。そのとき日本はどうするのか。党利党略や支持率ばかりを見ていては、完全に国際的に蚊帳の外になってしまう。

アジアのリーダーとしての「日本の哲学」

今回の日露首脳会談で、日本政府がなすべきことは、上辺だけのご機嫌取り外交ではない。日露両国が「世界的正義」を実現するために、両国の関係はどうあるべきかという「日本の哲学」を示すことだ。そのためには、まず何よりも平和条約の締結を優先させなければいけない。

これからの外交は、軍備拡張を続ける中国への対応が大きな課題となってくる。そうした中で、日本はどのようにアジア地域の平和を守り、民主主義国の代表として正しい発展へと導いていけるか。日本には、「アジアのリーダー」としての役割が期待されていることを忘れてはならない。ロシアとの平和条約締結に向けた、日本の「哲学」を明確にした外交が急務である。(詩)

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