日本の自動車の技術力を世界に見せる結果が出た。

米高速道路安全保険協会(IIHS)はこのほど、アメリカ国内向けの自動車を対象とした、安全性の最高評価基準「トップセーフティピックプラス」を発表した。評価基準を満たした全48車種のうち、日本メーカーが計30車種と、約6割を占めている。

IIHSとは、交通事故による死や怪我などを減らすことを目指しているアメリカの非営利団体。前面衝突、側面衝突など、5つの耐衝撃性能試験で毎年、自動車の性能を評価し、公表している。「トップセーフティピックプラス」を満たすには、5つの項目全てでの高評価に加え、特に前面衝突で突出した評価を受ける必要がある。

今回、9種類と最も評価を集めた自動車メーカーはトヨタ自動車だ。ホンダが8車種、フォルクスワーゲンが7車種、富士重工業が6車種と、トヨタ自動車に次いでいる。

昨年日本国内における交通事故による死者数は4113人。ゼロにはならないものの、2000年を境に14年連続で減少している。交通事故をゼロに近づける上で、今回の受賞は日本の自動車業界への追い風となるだろう。

スピード、正確性に加え、安全な新幹線

メイド・イン・ジャパンの安全性への評価は、自動車分野にとどまらない。

新幹線は1964年の開業以来、乗車中の旅客の死亡事故は起きておらず、その高い技術力に世界から注目が集まっている。

インドをこのほど訪問した安倍晋三首相は、インドのモディ首相と会談し、ムンバイとアーメダバード間の高速鉄道建設で、日本の新幹線方式を採用することで合意した。5月には、タイがバンコクとチェンマイを結ぶ高速鉄道に、日本の新幹線を採用することを決めている。

自動車業界では、自動運転や水素自動車などの次世代自動車開発に向けて各企業がしのぎを削り、鉄道業界でも、リニアモーターカーの実用化に向けて開発が進んでいる。

忘れてはいけないのは、こうした未来技術は安全性というしっかりした土台の上に成り立つものだということ。安全性を高める研究は日本が世界の最先端を行くべき分野だろう。

(冨野勝寛)

【関連記事】

2013年3月号記事 ものづくり日本復活の条件 - トヨタが自動車メーカーでなくなる日

http://the-liberty.com/article.php?item_id=5518

2015年11月2日付本欄 自動運転でトヨタがグーグルの"下請け"に? 「思わぬライバル」にご注意

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10415

2015年9月18日付本欄 中国がアメリカ初の高速鉄道建設へ 安全性は大丈夫か?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10178