グーグル本社(turtix / Shutterstock.com)
グーグルやアップルが自動車産業を根本的に変え、トヨタやホンダも「気をつけなければ、単なる部品の下請け業者になってしまうリスクがある」。
フェラーリやポルシェなどのデザインを手がけてきた「伝説のデザイナー」ケン・オクヤマ氏(本名:奥山清行)がこのほど、ロイター通信のインタビューに答え、こう警鐘を鳴らした。
「ソフトウェア」で自動車産業に挑戦
グーグルやアップルと言えば、「検索サイトやiPhoneなどを作る企業」というイメージが強い。しかし、こういった企業が今、自動車産業など、多分野に手を伸ばし始めている。
特に最近話題となっているのが、グーグルが製作している自動運転車だ。目的地を入力すれば、自動車が勝手に走り出し、乗車している人は座っているだけで良い。オクヤマ氏は、こういった自己駆動車が日本の自動車業界にとって次の挑戦者となると訴える。
グーグルやアップルの強みは、ソフトやプログラムを書くことに秀でていることだ。自動運転にはソフトが必要となる。うかうかしていたら、トヨタやホンダは置いていかれる。
グーグルはすでに自動運転車のプロトタイプをつくり、アメリカでテストを開始している。アップルも2019年までに自動運転車の完成を目指している。
トヨタやホンダも焦り始めている。彼らも、共同で2020年までに自己駆動車を開発し、市場に送り出す予定だ。
「異質結合」が「思わぬライバル」を生む
この現象は、大きな教訓を含んでいる。
「産業のイノベーションが進むと、思わぬところからライバルが現れる」ということだ。
イノベーションは、異なる技術の組み合わせで生まれることが多い。自動運転車という分野も、一見相容れない「ソフトウェア」と「自動車」という異質なものを結合して創造された。
その時、自動車メーカーのライバルとして、異質な存在であったソフトフェアの開発業者が立ちはだかった。
自分の属する業界においても、「思わぬライバル」を見逃していないだろうか。世の中のイノベーションの動向から、目を離してはいけないようだ。(中)
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