今年一年で最も話題になった言葉を選ぶ「2015ユーキャン新語・流行語大賞」がこのほど発表された。大賞には「爆買い」「トリプルスリー」などが選ばれた。

中でも注目されるのは、「SEALDs」「アベ政治を許さない」など、安保法制の成立に際し、メディアで騒がれた言葉もトップ10入りしたことだ。

安保法制をめぐっては、学生団体「SEALDs」が、国会前で「戦争法案反対」などと連呼するデモを繰り返し、今時のファッションでラップ風に抗議活動する姿が話題になった。また、「アベ政治を許さない」とは、作家で「九条の会」呼びかけ人である澤地久枝氏が広めたスローガンで、この言葉を記したポスターが、数多く掲げられた。

しかし、これらの言葉が流行した背景には、マスコミによる偏向報道がある。

マスコミは「若者の政治参加」として、SEALDsにスポットを当て、中心メンバーらをたびたびテレビや新聞に登場させた。しかし、SEALDsが主催したデモは、若者の数は少なく、中高年の参加者が多いのが実情だった。

産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が今年の9月に実施した合同世論調査によると、デモに「共感する」と答えた20代男性は23.8%に留まり、74.6%が「共感しない」と答えた。

マスコミはSEALDsを繰り返し取り上げたが、実際には大半の若者がデモに距離を置いていたようだ。

一方、同時期に安保法制賛成派のデモも開催されていたが、明らかに報道は少なかった。

このように、報道の偏りが目につく点は他にもあった。

安保法制は、国際情勢を見据え、安全保障のために必要か否か、という観点から議論されるべきだ。しかし報道では、「合憲か、違憲か」に終始する議論ばかりが目立ち、問題の本質に迫れなかった。

また、海外から安保法制賛成の声が上がっていた事実もあまり伝えられていない。中国の海洋進出に脅威を受けているフィリピンやベトナム、マレーシアは「日本の平和への貢献を歓迎する」と表明している。さらに、アメリカは勿論、イギリスやフランス、オーストラリアなどの先進国各国も安保法制に賛成の立場を示している。

マスコミは国民が正しく判断できるような報道をすべきだ。メディアを見る側も報道を鵜呑みにするのではなく、複数の情報源を持つなどして、偏向報道を見抜く智慧を身につけたい。

(HS政経塾 油井哲史)

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