鉄腕アトム (画像は Toshihiro Gamo / flickr )

「鉄腕アトム」「ドラえもん」の世界では、どういう問題が生じるか。

ロボットが進化・普及し、人間と共生するようになった世界の法律について考える「ロボット法学会」の設立準備研究会がこのほど、都内の日本科学未来館で開催された。

研究会の様子は、13日付日経テクノロジー電子版で報じられている。研究会では、ロボット法が必要とされる背景などについて議論が交わされた。

「ロボット法 新8原則」を提言

特に興味深いのは、慶應義塾大学の新保史生教授が提唱した、「ロボット法 新8原則」だ。

ロボットが従うべき指針として、1950年にSF小説家であるアイザック・アシモフが、著書「われはロボット」の中で提唱した「ロボット工学三原則」が知られている。これは、ウィルスミス主演のSF映画「アイ、ロボット」の原案にもなっており、内容は以下の通りだ。

  • (1)ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することで、人間に危害を及ぼしてはならない。
  • (2)ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし、第一条に反する場合は、この限りではない。
  • (3)ロボットは自らを守らなくてはならない。ただし、それは第一条、第二条に反しない場合に限る。

これに対し、「ロボット法 新8原則」は、人間第一、命令服従、秘密保持、利用制限、安全保護、公開・透明性、個人参加、責任という8つからなり、アシモフの「ロボット工学三原則」を踏まえつつ、同原則に代わるものだという。

ロボットとの共生は今世紀最大のテーマの一つ

人間とロボットの共生は、今世紀最大のテーマの一つとなるだろう。

ロボットは、人間以上の能力を持ち、労働力などとして人間の代わりになり得る一方で、SF映画「ターミネーター」や「アベンジャーズ」などで描かれるように、ロボットが人類の敵となれば、人類滅亡のシナリオも現実化する。

さらに、今後ロボット工学が発展し、感情を持つロボットが登場すれば、ロボットと人間との境目が分からなくなってしまう。「人間とは何か」という問いについて、より真剣に議論されるに違いない。

起こり得る未来について、今から考えておくに越したことはない。科学技術の発展と同時に、それに見合った法律のあり方や人間観、倫理観などについても議論しておくべきだろう。(冨野勝寛)

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幸福の科学出版 『未来にどんな発明があるとよいか』 大川隆法著

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