アメリカ・ニューヨークを訪問中の安倍晋三首相は29日午後(日本時間30日未明)、国連総会で一般討論演説を行った。演説では、ヨーロッパの難民問題について、約8.6億ドル(約960億円)の人道支援を行うことや、女性の地位向上、国連平和維持活動(PKO)への貢献などについて語り、最後は国連の安全保障理事国入りを目指す方針を示した。
この演説を受けて、幸福実現党は30日、声明を出した。要旨は以下の通り。
- PKOへの貢献や難民支援、女性の地位向上など、一定の評価ができる内容。
- 中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」資料のユネスコ記憶遺産への登録申請について、言及がなかったことは看過できない。
- 国連憲章からの旧敵国条項の削除や日本の常任理事国入りを含めた国連改革が必要。
国連総会は歴史問題をアピールする最大のチャンスだった
声明にあるように、日本が国際社会で存在感を示すには、中韓との歴史認識問題の解消は避けて通れない。本誌でも何度も報じてきたように、中国が「南京大虐殺」と「従軍慰安婦」の資料をユネスコ記憶遺産に登録申請しているが、その最終審議が10月4日から開催される。
最終審議が間近に迫っていた今回の国連総会は「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のウソを世界にアピールする最大のチャンスだった。安倍首相が正しい歴史認識を示すことがなかったのは大変残念なことだ。
日本は難民問題に対して金銭的に支援するだけで十分なのか
また、ヨーロッパの難民問題についても、日本は金銭による支援を行うだけで良いのか。
欧州連合(EU)は加盟各国に移民受け入れの協力拡大を呼び掛けているものの、ハンガリーやスロバキアなどの東欧諸国の反対もあり、依然として足並みはそろわない。難民受け入れに寛容な姿勢を示すドイツでさえも、29日、難民抑制の一連の措置を承認するなど、難民の大量流入により国内で混乱が起きないように一定の制限をかけている。ヨーロッパでは難民受け入れの限界に達している。
そうした中、アメリカが難民受け入れ枠を年間約7万人から、2016年には8万5千人へと拡大する方針を示すなど、協力の輪はヨーロッパ外にも広がっている。
一方、日本は難民受け入れに対して、厳しい姿勢を取り続けている。昨年日本に難民申請をした5000人のうち、認められたのはわずかに11人。アメリカなど各先進国と比べて極めて少ない数字だ。
旧敵国条項の削除は当然ではあるが、日本が常任理事国入りを実現するには、難民受け入れなどを通じて、世界の大国としての責任を果たすことが求められるだろう。(冨)
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2015年7月30日付本欄 もう一つの欧州危機は、年60万人の難民