中国の習近平国家主席は1日、台湾国民党の連戦(れん・せん)名誉主席(元台湾副総統)と会談した。連氏は中国が3日に開催する「抗日戦勝70年記念式典」に参加するために北京を訪れている。中国国営新華社が伝えた。

習氏は会談の中で「日本が台湾を占領した半世紀の間、台湾同胞は抗争を続け、数十万人が鮮血と生命を投げ出した」と述べ、台湾の抗日運動を評価した。これに対し連氏は「同じ中華民族として共に抗日戦争勝利を記念するのは、血を浴びて外国の侵略と圧迫に抵抗した悲壮な歴史を追想するためだ」と述べた。

日中戦争で日本が戦ったのは共産党ではなく国民党

一方、台湾の馬英九(ば・えいきゅう)政権は、中国が「抗日戦勝の主役は共産党だった」とする動きを、歴史の歪曲として強く警戒している。というのも、日中戦争で実際に日本と戦ったのは、当時の中国大陸の一大勢力で、後に台湾に逃れた国民党軍だからだ。第二次世界大戦後、国民党と共産党は内戦に突入し、勝利した共産党軍が中華人民共和国を建国した。

親中派で知られる馬英九総統も、「国民党が抗日戦争を主導したという史実の歪曲は許しがたい」と訴え、台湾当局の中国式典への参加を禁止していた。しかし、連氏は馬氏に背いて訪中を敢行。こうした連氏の行動は台湾内からも批判されている。

連氏は2005年に訪中して当時の中国国家主席である胡錦濤(こ・きんとう)氏と会談し、歴史的な「国共和解」を成し遂げた。その後は台湾政界と中国とのパイプ役となり、「中国の指導者とは連戦を通さないと会えない」とまで言われる、筋金入りの親中派だ。

「反日」を旗印に、中国と台湾が共闘する動き

前述した習氏の「日本統治時代、数十万人の台湾人が殺された」という趣旨の言葉に、「そんな事件があったの?」と感じた人もいるかもしれない。この発言のもとには、2005年「抗日戦勝60周年記念」行事における、胡錦濤前国家主席の発言があると推測される。

その発言とは、「日本が台湾を侵略占拠していた50年間、台湾同胞は絶えず反抗し、65万人が犠牲となった」というものだ。今回の会談でもこれに習い、習氏、連氏ともに「抗日」を強調し、その戦いで「中華民族全体の勝利」を得たと位置づけ、中台が共闘する動きを見せている。

しかし、胡氏の言う「65万人」という数字には何の根拠もない。日本が統治した約50年間に、武力蜂起などで1万数千人の台湾人が犠牲になったという説はあるが、日本の統治は人道的だった。日本は、台湾を統治した半世紀の間に教育やインフラなどに巨額の投資を行い、今の台湾の繁栄の礎を築いた。日本の統治が人道的であったことは、現在の台湾が親日国であることからも分かる。

ちなみに、1947年に台湾人が反中国・反国民党を訴えて蜂起した二・二八事件では、国民党政府によって約1カ月の間に1万8千人~2万8千人ともいわれる台湾人が殺された。それこそ、「悲壮な歴史」だ。

中国共産党は立党100周年の2021年までに台湾を吸収することを目指している。真に台湾の未来を思うのであれば、国際秩序の流れに逆行する中国に擦り寄るのではなく、日米を含む中国以外の国と連携して台湾を守る体制を固めなくてはならない。(真)

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