鳩山由紀夫元首相が韓国を訪問し、刑務所跡でひざまずいて謝罪したことに対し、日本では批判の嵐が巻き起こっている。

鳩山氏が訪問したのは、ソウル市内にある西大門刑務所の跡地(西大門刑務所歴史館)。日本の朝鮮半島統治時代に、独立活動家らが収監されていた場所だ。鳩山氏は30分ほど館内を見学した後に、独立活動家165人の名前が刻まれた追悼碑の前でひざまずき、痛切な表情で手を合わせ、2回頭を下げた。

その後の記者会見で鳩山氏は、「元日本の総理として、ひとりの日本人、人間としてここに来ました」と述べ、「日本が韓国を植民統治していた時代に、独立運動家らをここに収容し、拷問というひどい刑を与え命を奪ったことを聞き、心から申し訳なく思っている」と謝罪の言葉を繰り返した。

誤った歴史を日本が認めたと誤解をまねく鳩山氏の謝罪

西大門刑務所歴史館には、収監された独立活動家が受けた拷問の様子が生々しく展示されている。しかし、それらが日本軍によるものではなく、朝鮮人警察官によるものであっても、説明文がねつ造されてしまえばわからない。実際はどうだったのか。

韓国併合直前に朝鮮に赴任した日本の法務補佐官は、刑務所での拷問の残虐さを見て非常に驚き、拷問の禁止を骨子とする法律を制定した。また、日韓併合当時の朝鮮の監獄は非常に不潔で残酷なものだったが、当時の価値で100億円以上の資金をかけて清潔で近代的な刑務所に作り替えた。(松木国俊著『本当は「日韓併合」が韓国を救った!』より要約)

このように、日本の統治によって李氏朝鮮時代の残虐な拷問や刑罰は廃止され、地獄の牢獄も改善されたというのが史実だ。

歴史の検証をせずに、言われるがままに謝罪を繰り返すのは、日本が朝鮮人に対し残酷な仕打ちをしたという韓国の主張を事実と認めることになる。しかも、鳩山氏は一個人としてではなく、「元日本の総理として来た」と発言しており、日本政府を代表していると誤解される恐れもある。

今回の土下座も謝罪とは受け止められない?

元韓国籍で日本に帰化した日本評論家の呉善花(オ・ソンファ)拓殖大学教授は「Voice」2013年5月号に掲載された論文「朴槿惠大統領『親日幻想』に騙されるな」の中で次のように述べている。

「日本の政治家はこれまで謝ってきたけれども、いまなお韓国人が謝罪を要求するのは、その謝り方が韓国式の謝り方ではないからである。ではどのような謝り方をすればいいのかといえば、土下座をして、手をすり合わせながら涙を流し、繰り返し「悪かった」といったうえで、日本の領土の3分の1ほどを差し出す、これである」

つまり、日本国民を驚かせた鳩山氏の「土下座謝罪」も、韓国人から見れば「謝ったうちに入らない」らしい。

ねつ造の歴史に基づき謝罪する危険性

間もなく安倍首相が出す戦後70年談話の内容が、する必要のない「お詫び」を繰り返すものであれば、本質的には鳩山氏の謝罪と変わらない。しかも、土下座して泣き叫ばなければ韓国からの謝罪の要求は止まらず、日韓関係も良くならないことは自明の理だ。言われるがままに謝罪を繰り返すことの危うさに早く気付くべきだ。(真)

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