1919年に朝鮮半島での日本による統治に反対する「三・一独立運動」が起きてから、1日で94年になった。韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、ソウルでの記念式典で演説し「東アジアの時代をともに導いていくためには、歴史を正しく直視して責任を負う姿勢を持たなければならない」と、歴史問題での日本の反省を求めた。朴大統領は同時に、「加害者と被害者という歴史的立場は千年の歴史が流れても変わらない」とも述べている。

発足直後の韓国歴代政権は、おしなべて日韓関係で安全運転に努める傾向にあるが、朴氏は日本に対してあえて強い表現を使った。2月22日の「竹島の日」記念式典に、日本政府が内閣府政務官を出席させたことで、反日世論が高まっていることが背景にあると見られる。

しかし、北朝鮮が核ミサイルの実用化を進め、軍拡著しい中国からの侵略の脅威にさらされる中で、いつまでも日本を冷たくあしらうのは、韓国自身の国益に適わない。「千年後も被害者」という朴氏の発言は、韓国が北朝鮮や中国の軍門に下り、千年王国ならぬ「千年属国」になることを暗示しているかのようである。

恨み心を一方的に日本にぶつける現代の韓国とは違い、三・一独立運動の本来のコンセプトは、人類平等の高邁な精神をうたうものであった。第一次世界大戦を正式に終結させたパリ講和会議で、ウィルソン米大統領が「民族自決の原則」を掲げたことに触発されて始まったのが、この運動の起源である。その際に発表された「独立宣言」には、次のような記述がある。

「我々は全民族平等の原則を支持し、世界の人々に対して、朝鮮の独立を宣言する」

「我々は日本を責めるものではなく、他者の批判をする前にまず自分自身を責めねばならない。今日の問題への解決策が早急に必要とされているからして、過去の過ちを非難する時間の猶予はない」

「今日の朝鮮の独立は、朝鮮人が平穏で豊かなあるべき暮らしを営むだけのものではなく、日本が過去の悪の道から離れ、東洋の大義を支持するという偉大な仕事を成し、中国を悩ましい不安定と恐怖から解放し、そして世界平和と人類の幸福という大義に協力するよう導くものでもある」

過去の問題について日本に謝罪と賠償を口うるさく要求するのではなく、人類の理想を掲げた独立運動の精神に立ち返ることこそ、「未来志向」の日韓関係を築く上で、韓国がすべきことではないだろうか。

人種差別を撤廃して人類平等を実現することは、戦前日本にとっても外交目標であった。ウィルソン大統領は「民族自決の原則」を黄色人種に適用しないとしたが、日本はパリ会議で国際連盟規約に「人種差別撤廃」の条文を加えるよう提案している。日本は、第二次世界大戦で欧米諸国を相手に奮戦し、アジアの植民地を次々と解放した。現地を搾取するだけの欧米植民地主義とは違い、日本は朝鮮半島でも学校やインフラの建設などで、現地の発展に尽くした面がある。

仏教で説かれているように、恨み心で恨みは解けない。戦前の日本がアジアに対して果たしたこうした役割を、公平に評価する冷静さを韓国が持ってこそ、日韓関係に未来が開ける。歴史問題が両国間に感情的なしこりを残しているのは残念なことだが、日韓両国は今こそ協同し、周辺国を脅かす北朝鮮と中国の軍事独裁と戦うべきである。いつまでも被害者ぶって「謝罪と賠償」を叫ぶだけなら、韓国は、責任ある国家として世界平和に貢献することはできない。

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