「世界レベルのリーダー」を養成せよ

2010.07.03

(『平和への決断』第2章「太平洋戦争の勝敗を分けたもの」より抜粋・編集。2010年6月10日収録)

今こそリーダー養成を学ぶべき

特に、今、われわれ日本人がアメリカから学ぶべきことは、指導者養成のところです。ここを、しっかりと学んでおかなければいけないのです。

同書のなかでマッカーサーの霊も、「日本には、意思決定のできる人がいない」ということを言っていますが、それは、今の政治の問題そのものでもあります。鳩山元首相の沖縄問題等への対応を見てもそうでしたが、「意思決定のできる人がいない。誰と交渉したらよいのか分からない」という状態がずっと続いているのです。

その意味において、日本は、真のリーダーをつくることに成功していないと言えます。本当の意味でのリーダーというのは、かなり大変なものなので、「世界レベルのリーダー」をつくれるように、もっともっと努力しなければならないと思います。

日本人は、いまだに島国根性が抜けず、「日本一国だけが平和であればよい」「他の国の問題にはかかわらずに、日本だけがうまくいけばよい」というような意識が非常に強いのです。

したがって、もう一段、世界レベルで責任を持てるようなリーダーをつくらなければいけません。そういうリーダーに対して、それだけの負荷をかけて教育し、育てていかなければ、また同じことが起きてしまいます。

今の日本の政治を見ても、やはりリーダーが駄目だと思います。アメリカなどからは、相変わらず、「日本の政治は三流だ」と言われており、ややつらいものがあります。日本人から見ると二流ですが、アメリカから見ると三流なのでしょう。アメリカ人から見ると一つぐらいランクが違うようですが、日本人から見ても二流のリーダーしか持ちえていないという悲しさはあります。

やはり、国のリーダーというのは、力を入れて養成していかなければ駄目だということです。

「学問の実用性」に対する日米の考え方の違い

日本に一流のリーダーがいない理由の一つは、「日本の大学では、社会に出てからあまり役に立たない学問をやっていることが多い」ということです。一方、アメリカの大学では、民間企業と行き来できるレベルの人が学者をしていることが多いのです。

さらに、アメリカでは、銀行の頭取が政府の経済関係の長官になったり、また銀行に戻ったりするようなことを平気でできるわけですが、日本では、まずできません。日本の銀行の頭取には財務大臣はできませんし、反対に、財務大臣には銀行の頭取はできません。そういうレベルです。おそらく、日銀の総裁であっても、ユニクロの社長はおろか、どこの会社の社長もできないだろうと推定されます。

そういうレベルで済んでいるところが、日本の甘さなのです。

その違いは何かというと、アメリカでは、実業の精神がわりに強く、学問的によくできる人も尊敬しますが、事業で成功したり、お金儲けをしたりするような人も非常に尊敬する気風があるということです。それに対して、日本の場合には、両者が少し分かれているところがあるのです。

要するに、日本では、「勉強のできる人は、お金が儲からないものであり、反対に、勉強ができなかった人は、お金儲けに励むしかないので、そちらの方面で成り上がっている。そのように、両者は水と油のように相容れないものだ」と思っているわけです。このあたりが、日米の違いでしょう。

実際、日本の大学の先生がたには、学問に実用性がないことに対して、むしろ誇りを持っているようなところがあります。

これは嘘ではありません。私は、東大の授業で、経済学部の教授が、「東大経済学部の教授で、企業の経営ができる人など一人もいません」などと、自信を持って偉そうに言っているのを聴いたことがあります。

そのような教授に教わり、その科目で「A」あるいは「優」を取った人は、いったいどうなるのでしょうか。そういう人たちが、国家経営などに携わり、国を目茶苦茶にしているわけです。

実際に経営ができないような人に教わり、よい評価をもらっても駄目なのです。そういう“天才”が数多くいたとしても、経営ができない先生に教わり、よい成績をつけてもらったのであれば、それはやはり「できない人」でしょう。その授業を丸暗記して答案を書いていたら、おそらく、そうなるはずです。

逆に、そういう先生について、「おかしいな」と思った人のほうが、本当は優秀な人なのです。ただ、先生に疑いを持った人は点数を引かれてしまい、なかなかよい成績をつけてもらえないわけです。

一方、アメリカの大学では、授業でディベートをしたり、先生に質問をどんどんぶつけたりするようなところがありますし、企画力や創造力などをかなり重視するので、日本とは学問の傾向がやや違います。日本では、明治以降、「横文字を縦に直すだけ」の仕事で、けっこうご飯を食べられた時代が長かったため、その分、遅れているのではないかという感じがします。このあたりは反省しなければいけないところです。

特に、「優秀だ」と言われた人ほど、あとで無能化していく傾向があります。大企業や役所等の大きな組織に入って、長く順繰り人事をやっていると、だんだん無能化してきて、何も判断できなくなっていくことが多いのです。

したがって、今後、日本が国力を上げていくためには、企業家精神を持ち、責任を持って意思決定あるいは決断をし、責任を持ってそれを実行して、国民を引っ張っていくような、そういうリーダーをつくらなければいけません。

平和への決断―国防なくして繁栄なし
大川隆法著
幸福実現党出版刊
1,575円(税込)

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タグ: 学問の実用性  平和への決断  リーダー  The Perspective 

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