イギリスの経済界がEU脱退に傾く 「大きな政府」が営業の邪魔に

2016.01.13

イギリスは2017年末までに、「欧州連合(EU)を脱退するかどうか」に関する国民投票を行う予定だ。

そこで、イギリスが一番気にしている問題が、「脱退がイギリス経済にとって良いか悪いか」だ。同国の経済界の意見はどのようなものなのだろうか。

英デロイト社がこのほど、イギリス経済界を対象に調査を行ったことを、ロイター通信が報じている。

脱退に傾くイギリス経済界

2015年末に行われた調査によると、FTSE350株式指標に属する上場企業の内、62%が「EUに残るべき」と答えた。そのわずか半年前の調査では、その割合は74%であり、短時間で脱退派が増えた。

また、中小企業に対して調査を行った結果、41%が「EU脱退」を支持し、47%が「EUに残るべき」と答えた。

脱退を支持する企業が抱える一番の不満は、「規制が多い」ことだ。

ロイター通信が取材した、とある小企業の社長は、「EUは我々に対して、『賃金はどれくらいか』『どれくらいのゴミを捨てているのか』などといったアンケートを突きつけてくる。そのアンケートも、年々長くなるばかりだ」と、書類の多さに辟易している様子を示した。

この社長によると、労働時間や労働者の待遇、環境問題に関する規制など、数多の規制に従うことで、毎年利益の1割ほどが消えていくという。

規制が邪魔で発展できない

EU圏内では関税や出入国審査が無く、人もモノも自由に行き来できる。イギリスもその恩恵にあずかってはいるものの、他のEU加盟国との貿易収支は、788億ユーロ(約10兆円)(2013年度)の赤字となっている。

また、英シンクタンクの「Open Europe」が出した調査によると、EUの規制によってイギリス経済全体で毎年270億ユーロ(約3.4兆円)ものコストを負っているという。

貿易赤字の上に、規制によるコストが上乗せされ、まさに「泣きっ面に蜂」というわけだ。

貿易で赤字を出している点については、イギリスが国際競争力を上げるために自助努力するしかない。

しかし、EUのような「大きな政府」が企業にとって重圧となっているのであれば、「脱退したい」と考えるイギリス企業の視点も理解できる。

「大きな政府」が経済の足かせとなっているのはEUだけではない。日本でも、多くの規制が民間のイノベーションや起業を妨げている面がある。

基本的に経済とは、「お上」が主導して操って成長させるものではなく、国民が自由に自助努力できる環境で発展するものだ。イギリスの経営者たちの嘆きを受け止めたい。(中)

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2015年7月10日付本欄 イギリス政府が進める民営化 今よみがえるサッチャー精神

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2015年5月28日付本欄 イギリスでEU脱退の国民投票 EUの終わりの始まりか

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タグ: EU  国民投票  ユーロ  イギリス  規制  貿易  欧州連合  脱退 

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