「親日移民」が日本を救う - 幸福実現党の設計図2025

2015.08.29

2015年10月号記事

幸福実現等の設計図2025

IMMIGRATION

「親日移民」が日本を救う

日本は間もなく「超高齢化社会」に突入します。少子高齢化が社会問題になって久しいですが、政府は有効な手を打てていません。これに対し、幸福実現党は"親日外国人"の移民によって、解決したいと考えています。多くの外国人が住む群馬県大泉町での現地取材を交えながら、幸福実現党が訴える「日本型移民政策」を紹介します。

(編集部 山本慧 /幸福実現党 政務調査会)

2040年、あなたの故郷が消滅するかもしれない――。

地方から都市部に人口が流れ、若年女性(20~39歳)の数が半分に減って"消滅"する自治体が、40年までに896の市町村に上るとした「日本創成会議」が昨年発表した試算は、全国に衝撃を与えました。少子高齢化問題はそれほど深刻な状況です(図1、2)。

自治体消滅への解決策として、移民が議論されています。しかし、日本人には外国人と暮らすことにアレルギーがあり、特に中国人の受け入れに安全保障上などの不安を持つ人もいます。確かに、言語や習慣を知らず、文化を尊重しない人々に日本を荒らされたくはありません。

これについて、幸福実現党は"親日外国人"を教育し、移民として受け入れることを提言しています。まずは、外国人と調和しつつ、町おこしに成功した事例を見ながら、日本の未来を考えてみましょう。


OIZUMIMACHI Reportage

大泉町ルポ

東京から2時間、片道千円の電車代があれば、誰でもブラジルを体感できる町がある――。

そう評されるのは、群馬県大泉町。同町は人口約4万人の小さな町だが、全国から注目を集めている。一歩足を踏み入れれば、そこは別世界。町にポルトガル語の表記があふれ、100以上の外国人向けの店が軒を連ねる。全人口の15・8%に当たる約6500人が外国人で、そのうち約4千人は日系ブラジル人だ(6月時点)。そのため、同町は「リトルブラジル」と呼ばれる。

「外国人との共生」に成功

この町に外国人が急増したのは、1990年の入管法の改正がきっかけだ(注)。同町には、三洋電機(現・パナソニック)や富士重工業などの工場が立地するため、仕事を求めて多くの外国人が集まった。

外国人の流入を受け、町役場は「外国人との共生社会」を掲げた。すべての小中学校に日本語学級を設置したり、ゴミの出し方や地域の情報をポルトガル語で広報。外国人への窓口対応として、国際交流係(現・国際協働課)も新設した。これにより、違法駐車や騒音などのトラブルを減らそうとした。

同町国際協働課の担当者はこう述べる。

「特に、言葉が分からない外国人は、日本の生活習慣もなじみが薄いので、ゴミの出し方などをめぐって問題が起きることもありますが、早いうちに、しっかりと教えてあげれば、守る人は増えてきます。しかし、国内外での移動が多いので、一自治体の努力には限界があります。国が外国人の入国の際に、基本的な生活ルールを伝えることが重要だと思います」

大泉町は、15歳から65歳までの人口割合が県内で最大になり、活気づいた。 今や外国人との共生に最も成功した町と評され、自治体の視察やマスコミの取材が後を絶たない。

日本人が持つ外国人への偏見

一方、日本人の側に偏見があることも浮き彫りになった。例えば、町ではこんなもめ事が起きた。

ある日、ブラジル人たちが野外でパーティーを開いていたら、「臭いが気になる」とクレームをつける住民がいたという。日本では住宅地でバーベキューなどをすることは少ないが、ブラジルではごく普通の習慣だ。お互いの文化や習慣を知らないだけだが、日本人の中には「外国人はマナーを守らない」と捉えてしまう人もいる。大泉町観光協会の小野修一・副会長はこう語る。

「日本人にも外国人にも、良い人がいれば、悪い人もいる。だけど、外国人が少しでも悪いことをすれば、すべての外国人を『マナーを守らない悪い人だ』という目で見てしまう日本人が多すぎます。結局は、日本人がどうやって彼らと向き合っていくかを考えることが大事なんです」

前出の国際協働課の担当者も口を揃える。

「関わり方によって、個々に異なるとは思いますが、マスコミの報道の仕方にも、影響されることが多いのではないでしょうか。悪い情報ほど、偏見につながるのかもしれません」

大泉町の街並み。通りには、外国人の姿がちらほら。

「外国人の町」を観光資源に

大泉日伯センターの高野祥子氏(手前)が手にするのは、授業で使っているブラジルの教科書。保護者と子供の多くが日本語を話せないため、授業はポルトガル語で行われている。

日本で小学生に当たるクラスには、10人程度の生徒がいた。

小学生のクラスで、生徒に話しかける幸福実現党の安永あきら氏(中央)。

こうした偏見を乗り越えながら、同町では「リトルブラジル」を観光資源にするため、ブラジルで有名なサンバや、世界中の料理を味わえる「活きな世界のグルメ横丁」を開催。県内外から観光客が訪れるようになった。

「この町には、観光資源はほとんどなく、あると言えば古墳ぐらい。そこで町おこしとして、"リトルブラジル"を生かそうとしたのです」(小野氏)

記者はこの町を訪れる前、外国人は住民とは交流せず、地域で孤立しているのではと心配していた。だが、取材を進めていくうちに、それが思い込みに過ぎないと感じた。むしろ、地域に溶け込もうと、ボランティア活動に参加する外国人も多いという。

外国人は雇用の調整弁か

大泉町を揺り動かした一大事は、2008年のリーマン・ショックだ。これにより、外国人労働者は真っ先にクビを切られ、生活保護を受ける人が増えた。路頭に迷った彼らに、食事の提供などの助け舟を出したのは、外国人学校やNPО団体だった。人とのつながりが命をつないだ。

それから数年が経ち、安倍政権は成長戦略の一環として、外国人労働者を増やそうとしている。これについて、同町にある外国人教育に携わる大泉日伯センターの高野祥子・代表取締役は、「以前、この学校に通う生徒は約250人いましたが、リーマン・ショック後、140人ぐらいに減りました。 景気が良くなれば、外国人を受け入れ、悪くなれば、除け者にする。あまりに都合が良すぎませんか。政府は同じ過ちを繰り返そうとしています 」と懸念する。

高野氏が運営する日伯学園では、日系ブラジル人向けの教科書を採用している。だが、その教科書が日本の教科書検定の認定を受けていないため、同学園は補助金を受け取れず、生徒からの授業料だけで綱渡りの経営を続ける。

もちろん、教科書に反日的な内容が書かれているのなら問題だが、そうではない。移民への教育方針の不在によって、外国人教育が排除されている面は否めない。

取材に同行した幸福実現党の安永あきら・群馬県本部副代表は、 「政府に移民受け入れの戦略がなければ、現場の自治体は振り回され、住民も外国人も、不幸になるのではないか」 と語る。明確な移民政策が必要とされている。

(注)1990年、入管法(出入国管理及び難民認定法)の改正により、それまで日系1、2世までだった在留資格が、日系3世にも広げられた。


日本に合った移民政策とは

日本は今後、人口急減とグローバル化にどう対応すべきでしょうか。その解として、幸福実現党の移民政策を紹介します。

本当は移民の必要性を分かっている日本政府

安倍政権は来年から、「技能実習制度」の拡大方針を決めました。これは、最長で5年間、日本で働きながら技術を学ばせ、母国の発展に役立ててもらおうとする制度です。

しかし一部では、母国の発展に関係のない仕事をさせられたり、日本人より安い賃金で長く働かされたりといったトラブルも起きています。安倍政権は移民の受け入れを否定しながらも、人口減によって不足している特定分野の労働力の穴埋めに外国人を使いたいという本音があるからです。

国際貢献の一環として始められた制度でしたが、劣悪な労働環境などにより、結果的に「反日外国人」を生んでいます。職場から逃げ出し、行方が分からなくなった外国人も、昨年は約5千人に達しました(本誌105ページのグラフ)。

本来、移民の受け入れが必要なのに、こうした場当たり的な制度を拡大すれば、欧州の轍を踏んでしまう恐れもあります。

欧州各国も日本と同じく、外国人労働者は一時的に滞在するものと想定していましたが、その多くが定住したため、言語や習慣などの生活に関わる問題が後回しになり、社会問題に発展しています。外国人の受け入れは、単なる労働問題の解消として捉えるべきではありません。

親日外国人を輩出する幸福実現党の移民政策

幸福実現党は、外国人が日本に溶け込めるように、育てようと考えています。

まず、 友好的なアジア諸国に、日本で働くことを想定した学校をつくり、卒業生の受け入れを進めます (本誌105ページの政策)。これは日本が戦前に統治した台湾で、教育により、武士道精神を身につけた李登輝・元台湾総統のような人材を数多く輩出したことを念頭に置いたものです。

そして、 移民の受け入れには、上限数を決め、特定の国に偏らないようにします 。反日的な国からの移民を制限し、不法入国には毅然とした対応を取るなど、日本人も外国人も安心できる社会を目指します。

さらに、 外国の文化がたくさん入ってくるからこそ、日本人としての自覚を高めることも大切です。 日本人が自国の歴史や文化を語れるようになるため、愛国心教育や宗教教育などを導入します。もちろん、移民の前提として、日本人の出生率を向上させることも必要になります。


移民への不安

外国人は日本文化や風習を尊重しない

幸福実現党の移民政策

日本精神を身につけた外国人を育てる

具体策

  • 移民は、アジアの「親日国」を中心に受け入れる。例えば、台湾や、マレーシア、インドネシア、ベトナム、タイなどが挙げられる。
  • アジア各国に、工業や看護などの専門学校や大学をつくり、仕事に必要な専門知識とともに、日本語を教える。さらに、日本人が大切にする正直さや努力などの美徳や習慣などを教え、卒業生を移民として受け入れる。
  • アジア圏内の日本語学習者や、日本への留学者数を増やす。
  • 外国人が定住後も、日本語や文化を学べるように、子供の数が減った学校の空き教室や塾を活用する。
  • 税金を安くし、税制をシンプルにすることで、裕福な外国人の移住を呼び込む。

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移民への不安

治安悪化やトラブルを招く

幸福実現党の移民政策

移民の上限数を決め犯罪には毅然とした姿勢を

具体策

  • 日本が外国に乗っ取られないように、当面、総人口の1割を移民の上限とし、特定の国に偏らないように制限を設ける。反日国については、受け入れ拒否も検討する。
  • 産業スパイやテロを取り締まる法律を制定する。また、不法入国者を生み出した企業への罰則も強化する。
  • 日本国籍の取得には、国家に対する忠誠や国歌の暗唱、一定の日本語能力の習得などを求める。参政権は帰化を絶対条件とする。

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移民への不安

日本文化が乗っ取られ伝統が失われる

幸福実現党の移民政策

日本人の愛国心と国際感覚を育む

具体策

  • 日本人としての自覚を高めるため、愛国心教育や正しい歴史教育を強化する。
  • 学校での国際交流の機会や、日本人留学者数を増やすなどして、日本人の国際化を進める。また、世界宗教の歴史や国際問題にも目を向け、宗教教育にも力を入れる。
  • 地方自治体や公共機関が、多言語の対応をとれるようにする。大都市では、英語を準公用語にするなど、国際化に対応する。

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日本は移民で世界に貢献を

移民政策は、この国の未来を大きく発展させます。歴史を振り返れば、 日本人は古来より寛容の精神を大切にしてきました。外国文化を吸収したり、中国大陸から来た渡来人とも共生できました。日本文化には、多様な文化を尊重し、外国人を受け入れられる素地があるのです。

移民を通して「日本精神」を世界に広げることで、他の国々をも繁栄に導くというアジアのリーダー国としての責任を果たすべきです。


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