日本と米国が、ともに東南アジア諸国連合(ASEAN)に接近し、中国を牽制している。

24日、インドネシアのバリ島では、ASEANの国防相が集う非公式の会議が開かれ、4年後の安保共同体発足に向けて結束を固める協議などを行った。最大の焦点は、南シナ海で権益拡大を狙う中国の問題だ。

同会議には、わざわざ米国からパネッタ国防長官が参加した。25日付朝日新聞は、インドネシアの国防省関係者の次のようなコメントを紹介している。「会議の目玉はパネッタ米国防長官の参加。5カ月前にASEANが中国の国防相と会った時、米国は不快感を示した。今回は米国と会う番、ということだ」

24日、日本では、一川保夫防衛相が、防衛省内でベトナムのタイン国防相と会談し、「日越防衛協力・交流に関する覚書」に署名。覚書には、防衛当局の次官級による定期的な対話や、自衛隊などの相互訪問が盛り込んだ。ベトナム国防相の来日は13年ぶりで、タイン国防相はわざわざバリ島でのASEAN会合を欠席しての訪日だった。

さらに、25日付日経新聞によると、野田佳彦首相は11月に開かれるASEANとの首脳会議で、ASEAN地域内の海上輸送体制の支援を表明する。同地域の島々の物流を円滑にするために、船舶の高性能化や港湾整備を資金や技術面で後押しするという。

こうして日本と米国がASEANとの連携強化を進める理由は、南シナ海、東シナ海で活動を活発化させる中国の影響力を弱めるためだ。万が一、ASEANが中国の手に落ちれば、中国は海上交通路(シーレーン)をおさえ、日本への物資の輸送にストップをかけるどころか、台湾、沖縄を侵攻するための万全の態勢が整う。

日本は、今後とも米国とスクラムを組んで、ASEANを民主主義、自由主義圏に取り込まなければならない。(格)

参考記事

2010年11月号記事 【201X年 日本再占領!?】(2)沖縄に中国軍が駐屯する

中国軍事専門家  平松茂雄インタビュー

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=75