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アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

香港は1997年7月1日、イギリスから中国へ返還された。ただし、「一国両制(1国家、2制度)」の下、香港の政治・経済・社会システムは本来、50年間不変(2047年6月30日まで)のはずだった。

ところが、習近平政権はその約束を反故にした。2014年における「雨傘革命」以来の、香港のさらなる「民主化」がよほど目障りだったのかもしれない。特に、2019年11月の香港区議会選挙では、「民主派」が約8割の議席を獲得し圧勝した。その結果に衝撃を受けた習政権は、"国際公約"を破ってでも、香港の「一国両制」をいち早く終わらせようと考えたのだろう。

翌2020年6月30日、全人代常務委員会で「(香港版)国家安全維持法」を通過させ、中国共産党が香港を自由に操れるシステムを構築した(*1)。事実上、「一国両制」が終焉したのである。

同時に、香港経済の地盤沈下が始まった。香港での自由な経済活動が難しくなったためである。香港ハンセン指数は、2021年2月頃、一時3万ポイントまで上昇したが、それ以後、ほぼ右肩下がりとなっている(*2)。

(*1)『香港国家安全維持法
(*2)『恒生指数

虚しく響く当局の投票呼びかけ