《ニュース》

中国人民解放軍の傘下にあるハッカー集団が、アメリカの基幹インフラシステムに繰り返し侵入し、サイバー攻撃の技術を向上させていることに、注目が集まっています。

《詳細》

米ワシントン・ポスト紙は11日、米政府職員や業界関係者への取材に基づき、「中国のサイバー軍がアメリカの重要施設を侵略している」と題した記事を報じました。報道に先立ち今年5月にも、米国務省などが、中国がアメリカの基幹インフラにサイバー攻撃を仕掛ける能力を有していることに警鐘を鳴らしています。

ワシントン・ポスト紙によると、ここ数年にわたって、中国人民解放軍傘下のハッカー集団が、数十におよぶ米重要機関のシステムに侵入していたといいます。

例えばハワイの水道施設、西海岸の港湾、石油・ガスのパイプライン、さらにはテキサス州の送電網などが被害にあっているとのことです。同紙の取材に応じた米政府職員は、一連の侵入によって施設のコントロールシステムが影響を受けることはなかったとしながら、サイバー攻撃の狙いに言及しています。

米太平洋艦隊の基地であるハワイに攻撃が集中していること、また物流センターや港湾システムへの侵入がなされていること。これらのパターンが示す「中国軍が欲している」ものは、台湾有事の際、アジア地域に部隊や装備を輸送しようとするアメリカの動きを妨害する能力だといいます。

世界の物流・海運データを中国が掌握せんとしていることをめぐっては、以前から警鐘が鳴らされてきました。中国は、2007年に開発された物流情報システム「LOGINK」を世界各地の港湾に輸出。同システムは非営利組織によるものという立て付けながら、中国交通運輸省の監督下にあり、中国政府が物流データを一元管理することになりかねないと、問題視されてきました。米議会では昨年時点でこの問題をめぐる報告書がまとめられ、このほど、国防総省に対しLOGINKを使用するいかなる港湾の使用も禁ずる法案が可決されています。

基幹インフラシステムへのサイバー攻撃や、物流データの掌握に加え、アメリカでは、警察や消防隊、救急隊などが使用するITネットワークに中国製機器が組み込まれており、国内の重要な緊急インフラ・ネットワーク情報が、中国政府に筒抜けであることも報じられています。

さらには近年、大量の中国人がアメリカに不法入国しており、彼らが「訓練された軍人」であると指摘する声も多く上がっています。

中国がアメリカへの"仕込み"を着々と進めていることに、米国民の危惧が強まっています。

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