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経済的、政治的将来に対する不安から、すでに中国の人々は数千億ドルの資金を中国国内から海外へ逃がしていると米ニューヨーク・タイムズ紙(12月1日付)が報じています。

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3年近く中国を"封鎖"してきた新型コロナウイルス対策の終わりを機として、中国人富裕層はすでに数千億ドルを国外に移したと言われています。そして現在、毎月推定500億ドルが富裕層や民間企業などによって中国から持ち出されているということです。

今回、米ニューヨーク・タイムズ紙は"Suitcases of cash leave China(現金入りのスーツケースが中国を離脱する)"という、一見比喩にも思えるタイトルで報道をしていますが、これは現実に起きている話です。実際に多くの中国人富裕層が機内持込手荷物に金の延べ棒や外貨を隠して、海外へ向かっているというのです。中国本土の銀行では、香港にある系列銀行よりも7%高い価格で金が取り引きされており、この価格差は、本土内で資金逃避用の金の需要の高まりを示しています。

また、海外不動産の購入はよくある手段の一つですが、彼らが東京都内で300万ドル以上するような高級マンションを購入する際、スーツケースに入った現金で支払うケースが多いといいます。

それ以外に資金を逃がす方法として、香港の銀行に口座を作り、保険商品を購入するという手段があります。口座開設のため、香港の銀行前には朝から人々が長蛇の列を作っていると報じられています。

過去には2015年末から2016年初めにかけて、上海株式市場での中国株の暴落と人民元切り下げの動きによって、大規模な資金流出が発生しています。当時、中国人民銀行は人民元価格を下支えするために、外貨準備のうち、月1000億ドルを支出しなければなりませんでした。

これまでのところ中国政府は、人民元の安定化のために毎月約150億ドルを費やしています。当時に比べればまだ問題は顕在化してはいませんが、個人レベルで貯蓄を海外に流出する動きがさらに広がれば、市場関係者や政府の警戒を招くことにつながるでしょう。

富裕層は過去には、マカオのカジノで、ギャンブルの残りの人民元をドルに替えたり、香港で違法に両替したりすることなどで、資金を逃がしていました。中国政府はこのような動きに対して規制を強めていますが、彼らは引き続き、あの手この手で資金を逃がし続けているのです。

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